法律のいろは

NHKの受信契約がいつ成立するのか・受信料の消滅時効がいつからスタートするのかを判断した最高裁の判断(その①)

2017年12月7日 更新 

 既にニュースになっているところですが,昨日最高裁でNHKの受信契約が成立するのはいつからか・受信料の消滅時効はいつからスタートするのかなどを判断した判例が出ましたので触れていきたいと思います。以前別のコラムで触れた点との異同は一部ありえますが,以下触れていきます。

 

 結論は既に報道されていますが,契約自体は,契約に応じればその時点・応じない場合には契約締結を求める裁判での判決が確定した時点である・受信料は受信設備を設置した時点から発生し,時効は契約の成立時(契約締結に応じない場合は,締結を求める裁判の判決の確定した時点)という内容になっています。

 

 話を判決から読み取ると,平成18年3月下旬以降自宅に「衛星系によるテレビジョン放送を受信できるカラーテレビジョン」を設置した方に対して,NHKから受信契約の締結を求めること・受信料の請求の支払いを求めるなどしたものです。NHKの主張によると,平成23年にNHK側から受信契約の締結を申し入れた(法律用語で申し込み)時点で契約が成立することを前提に受信設備設置時点《平成18年3月下旬)からの受信料の請求がなされています。

 実際には契約を結ぶという回答がなされなかったので,その時期にNHKの放送を受信していることで利益を得ているのではないかという請求などもなされていますが,今回は先ほどの二つの点に関して紹介していきます。

 受信料の消滅時効が問題になったのは,仮に受信契約が成立していた場合に,古い受信料が時効によって請求が認められなくなれば,その部分お金の請求に応じる法律上の義務が少なくなりえるためです。ちなみに,時効になるのに必要な期間は5年であると最高裁の判断でも触れられています。

 

 そもそも,契約締結を求められる理由はどういった点にあるのでしょうか?その根拠として放送法64条1項という決まりが挙げられます。これは引用すると「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とされていて,但書で例外的に契約をしなくてもいい「受信設備」の種類が挙げられています。

 この決まりによって,該当する受信設備(これがどこまでを含むのかという問題点もありうるところです)を設置した方が,設置によって当然に契約をしたことになるのか・契約する義務を負うので,契約を申し入れられたら応じる義務が出るなのか問題点となります。また,契約に応じる義務があるとしても,いつの時点でどのようにして契約が成立するのかという問題もあります。さらに言えば,この裁判でも問題となりましたが,そもそもこうした法律の決まりが,いつ・どのような契約を・誰とするのか等契約は自由であるという原則への例外となりかねませんので,この点が憲法上許容されるのかという点が問題となります。

 

判決では,こうした点について判断していますが,長くなりますので次回に続きます。

 

 

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