法律のいろは

「空き家」になっている実家をそのままにしておくことで発生する問題(その④)

2017年12月13日 更新 

 前回まで,空き家になっている実家が倒壊しそうな場合などに修理を請求される可能性があるなどの話をしました。それでは,実際に屋根などが倒壊して通行している方や近所の方にケガをさせた場合はどうなるのでしょうか?

 

 結論から言えば,損害賠償責任を負う可能性が出てきます。法律上,家等の管理に問題があり,「通常有するべき安全性を欠いている」と評価された場合において,そのことが原因で人にケガなどをさせてしまうと,管理者あるいは所有者は損害賠償責任を負うことになります。特に,所有者の責任は無過失責任とされていて逃れられない(管理者も管理に問題がないと証明しない限り逃れられません)点には注意が必要です。

 ケガの原因が,先ほど述べた実家の建物の管理に問題があり,「通常有するべき安全性を欠いている」ことで生じたものと言えれば,当然損害賠償責を負う可能性が高くなります。実家の管理を行う場合には所有者であることも多いでしょう。ここで問題となるのは,「通常有するべき安全性を欠いている」状態はどんな状態なのかといった点にはなります。

 この状態とはあくまでも法律上の評価に当たりますので,具体的な事実関係からそのように言えるのかが問題となります。一般には,信号などが本来満たすべき性質を欠いている場合・管理がおざなりで壊れた状態(危険な状態)で放置されている場合などは当てはまるでしょう。

 

 今回のケースでは,実家の屋根の倒壊が突発的なよほどの原因でもない限りは,管理が不十分なことで老朽化等が進みそのことが原因で倒壊した可能性は十分に考えられるところです。そうであった場合には,先ほど述べたように「通常有するべき安全性を欠いている」と評価されることになるでしょうから,空き家である実家の管理者が損害賠償責任を負うことになりかねません。

 田舎の方にある家では,人通りも少ないので現実的に建物の老朽化が進みに任せていても,今回取り上げたような事故が起きるケースはそこまでないかもしれません。ことに,住むわけでもないし税金の負担もあるということでは何かしらの対応を事前にしておくモチベーションはわかない可能性もあります。とはいえ,こうしたリスクが生じかねないことから,単に空き家として放っておくということは避けて今後のことを考えて行動をするのも一つの方法といえるでしょう。

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