法律のいろは

婚姻費用とはなんでしょうか?(その①)

2013年5月15日 更新 

 別居したのだけれども,生活費が払われなくなったという話はよく聞きます。
離婚をするつもりで家を出たのだけれども,離婚の話は伸びるし,家に戻らないと生活費は払わないという話も聞きます。

 こうした場合に生活費の請求はできるのでしょうか? 法律上,結婚している限りは,婚姻生活を維持するために必要な費用の負担義務を負います。
こうした費用は,生活費と一般にいいますが,婚姻費用にあたるものです。

 夫婦は,お互いに自分と同程度の生活を維持するよう協力する義務があると考えられています。ですから,別居したからといって,生活費(婚姻費用)を負担しなくていいわけではないのです。

ここで問題になるのは大まかに次の点でしょう。

(1)誰が・どれだけの金額を生活費(婚姻費用)として負担しないといけないのか
(2)別居して,同居しない点は生活費(婚姻費用)に関係しないのか
(3)家賃や光熱費等自分が今払っているお金は,生活費(婚姻費用)の負担に影響しないのか

このほかにも,生活費を払ってくれないときどうすればいいのか等問題はあります。

 今回は,(1)のごく一部について触れます。法律上は,生活費(婚姻費用)は,夫婦の収入や資産等色んな事情を全部考慮して決めるとされているだけです。

 これだけだと,一体どうなるのかが分かりにくいところです。
 ただ,自分と同程度の生活を維持するよう協力するというところから,収入の少ない方から多い方に対して,生活費(婚姻費用)を払うということになります。

 ではいくら払うことになるのでしょうか?

 夫婦で話し合いがつくなら,決めた金額を払えばいいということになります。
とはいっても,生活費(婚姻費用)の支払いが問題になるときには,別居や離婚が問題になるケースが結構あります。
この場合は,夫婦本人では話し合いが難しい場も多いように思われます。弁護士といった専門家に交渉してもらって決める方法もあります。

 専門家ははいる場合,いわゆる相場を参考にします。
その相場を定めているものとして扱われるのが,「算定表」「算定式」と呼ばれるものです。

 最近では,インターネット上でも簡単にみられるようになりました。
夫婦それぞれが自営業か勤めの収入かによって金額が変わってきます。
子どもの生活費を負担するという面もありますので,養育監護する子どもの数と年齢にも応じて金額は変わってきます。

 ちなみに,最近は,副業などで自営業収入を得ながら,一方で勤めで給与収入を得ている方もいて,こうした場合に,収入をどう考えるかも難しい問題です。こうした算定式や算定表で出てくる金額を減額するかどうかが,先ほどの(2)の問題であることが多いです。

 注意するべきは,生活費(婚姻費用)の支払い義務自体は離婚しない限り,あります。
ただし,たとえば月10万円とかいった具体的な金額を払う義務は話し合いがつくとか家庭裁判所での調停(話し合い)や審判(裁判官の判断)で決まらない限り,はっきりはしないということです。

 長くなりそうなので,次回算定表や算定式の見方などについて触れたいと思います。

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