法律のいろは

交通事故にあった事で仕事ができなくなった分の損害賠償はどうなるのでしょうか?(その⑯)

2013年7月6日 更新 

 交通事故にあって,後遺症が残った場合の逸失利益の話について引き続きです。今回も,基礎となる収入をどう考えるのかという点について触れていきます。

 

 今回は,無職の方について触れていきます。無職であれば,得られたはずの収入はなかったことになるか?というと,そうはなりません。いかに無職の方でも再就職活動によって,将来収入を得ることは十分ありえます。ただ,そうした再就職の蓋然性がない場合には,得られたはずの収入はなかったことになります。

 

 そのため,働く能力や意欲があって,再就職の蓋然性があれば,得られたはずの収入はあるはずなので,逸失利益は発生します。そこでの基礎となる収入は,再就職によって得られた収入ですから,再就職によってもらう賃金となるはずです。

 ところが,実際には再就職していないのですから,原則は失業前の収入を参考にします。例外として,失業前の収入が賃金センサスで統計の得られている平均賃金より少ない場合があります。この場合に,再就職によって平均賃金が得られる蓋然性があれば,男女別の賃金センサスの統計により賃金で考えていくことになります。

 この場合に,おおよそ30歳未満の方の場合には,全年齢平均賃金で考えます。ただし,先ほども触れたように,生涯にわたって全年齢平均賃金を得られる蓋然性は必要です。こうした蓋然性がないのであれば,年齢別平均賃金や学歴別平均賃金で考えることもありえます。

 30歳を超える方については,年齢別平均賃金が参考とされることがあり得ます。

 

 このような,無職の方の逸失利益の問題です。一番問題なのは就労の蓋然性をどうやって示していくかです。先ほど触れましたように,働く能力や意欲とは別であることには注意が必要です。

 

 次回に続きます。

 

 

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。