法律のいろは

離婚と財産分与(その㉓)

2013年8月19日 更新 

 離婚の際の財産分与の話について,ここ何回か不動産の清算に関して触れています。今回は前回の予告とは異なりますが,いつの時点の価格を基準に考えていくのかという問題について触れていきます。

 

 以前(このシリーズのその⑬)で,いつの時点に存在する財産が,財産分与によって生産されるかということを銀行預金を例にとって触れていきました。そこでも触れましたように,別居時までは夫婦が財産形成に協力するからということで,別居時までと考えられています。

 これと,別居時に存在しはした財産だけれども,価値が大きく変わりやすい(特に下落しやすい)ものの価格はどの時点を基準にするのかという話は別の問題です。たとえば,株式や投資信託,金などは価格が変わりやすいですし,貴金属や自動車は時間がたつほど価値が急に落ちていきます。

 

 こういった財産は,いつの時点の価格を基準に考えていくのでしょうか?どの財産があるのかは別居時を基準に考えるのだから,同じく別居時を基準にするのは一つの考え方です。しかし,離婚を巡る話し合いは短時間で決着して夫婦双方が再スタートを早く切れるとは限りません。場合によっては,相当時間がかかるケースもあります。その間に価値が大幅に減っているものを元の価値を同じに考えるのは変ですし,株価が上昇したもののかいとを度外視するのも不自然です。

 こうしたことから,離婚の話し合いで決着をつけるのに近い時期(離婚裁判では高等裁判所までの口頭弁論終結時点)を基準に考えていくことになります。ちなみに,株式や投資信託等については,別居した後離婚の話の決着がつくまで売却をしないでいる場合の話です。話し合いの最中に売った場合には,売った価格を基準に考えていくことになります。

 

 以前,どういった財産があるかの調査の話をしましたが,証券会社などが作った取引報告書(ネット証券ではネット上に取引報告がされていることから,印刷したもの)を自分で準備して,財産の証明をすることになります。相手の持っている株式などの内容は分からないけど,どこの取引証券会社が分かる場合には,相手に書類の開示を求めてみる方法があります。相手が応じない場合には,離婚調停等裁判所の手続きであれば,証券会社への調査嘱託等の方法があります。協議離婚であれば,以前(このシリーズのその⑫)でふれた弁護士会照会手続も考えられます。詳しくはこのシリーズのその⑫をご覧ください。

 

 自動車についてなど補足すべき点がありますので,近いうちに補足していきます。

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