法律のいろは

離婚と財産分与(その25)

2013年9月2日 更新 

 離婚の際の財産分与について,結婚前から夫婦それぞれが持っていた財産や結婚後でも夫・妻がそれぞれ個別に貰った(贈与を受けた)場合には,特有財産と呼ばれて財産分与の対象とはなりません。これは以前触れました。問題は,こうした特有財産と夫婦がそれぞれ貢献して得た財産の区別がつきにくいときです。

 

 問題になるケースとしては,結婚前から使っている通帳に結婚後にもらったお金が振り込まれていてそのままであるようなケース・結婚前から持っている不動産だけれども,人に貸していて,結婚後も賃料収入を得ているようなケースが考えられます。

 

 前者のようなケースもかなり多いのではないでしょうか?特有財産はあくまでも財産分与の対象ではありませんから,絶対にもらったお金の金額は財産分与から覗いてほしいと考えるのが,貰った方の心理としては普通でしょう。しかしながら,もらったお金を結婚後の夫婦の生活費のための口座としても使っていて,生活費としてのお金の出入りも頻繁になされている場合には,どの部分が特有財産でどこまでが夫婦が共同で作ったお金なのかははっきりしなくなります。

 もちろん,お金は数えられるものだから,数字としては判別できるはずという考え方もあろうかと思われます。しかし,一般に家庭裁判所での取り扱いは,先ほど述べたように考えて,判別できない以上は夫婦で作った共同財産の中に埋もれた(言い換えれば,特有財産として考えない)ことになります。そのため,たとえば,時々親からお金を10万円単位で受けていたのだけれども,普段生活費に使う口座に入れてもらっていた場合には特有財産といえなくなるリスクが出てきます。

 ただし,以上はあくまでも特有財産として財産分与の対象とならないのか・夫婦共有財産として財産分与の対象となるかという問題についての話です。ちなみに,特有財産がはっきりしていれば,いくら共有財産に特有財産が混じっていても,財産分与の対象とはなりません。

 

 後者の問題についてですが,たしかに,賃貸物件を買ったのは夫婦一方のみの力です。しかし,結婚後に運用するのには夫婦二人の力がないとできないと考えられるので,結婚前に買ったマンションの賃料といえども,結婚後に発生する賃料は夫婦共有財産となって財産分与の対象となります。もっとも,寄与や貢献度の話は別です。

 

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