法律のいろは

離婚後の子供の引き渡し(その②)

2014年9月23日 更新 

 前回,離婚後の子供の引き渡しについて,親権者となった親から親権者とならなかった親に対する者にたいして請求する方法等について触れました。今回は,続きとして,親権者とならなかった親から親権者となった親に対してこうした請求ができるのかどうかなどについて触れていきたいと思います。

 

 方法としては,前回と同じく①子供の引き渡しを求める審判の申立②人身保護法に基づく請求が一応考えられます。

 まず,①について触れます。離婚に際して,子供の親権者とならなかった親には,子供に対して親権を有しているわけでもありませんし,養育監護する権限を持っているわけではありません。ですから,子供の引渡を求める審判の他に親権者変更の審判の申立rをすることになろうかと思われます。親権者の変更だけを求める方法もありえますが,家庭裁判所が親権者の変更を認めた場合でも,必ずしも引き渡しを認めてくれるわけではありませんから,両方の請求を家庭裁判所に対して行うことになるのではないかと思われます。

 当然この方法による場合は,子供の養育監護を現在の親権者のもとで行うことが子供の成長にとって好ましくなく自らのもとで行う方が良いと言えるだけの事情が生じたことが必要になります。家庭裁判所調査官の行う調査でそうした事情があるかどうか(子供のこれまで・現在の養育環境や監護体制,子供の意思や審判を求めるに至った経緯等を考慮していく)の事情を裁判所が集めることになります。請求するに当たっては,こうした事情があるかどうか・あると考えるならその証拠があるかどうかを考えていくことになります。請求される相手方は,こうした点についての反論を準備することになるでしょう。

 

 次に②について触れていきます。前回触れましたように,人身保護法に基づく請求が認められるには,親が子供の身体を拘束していることの違法性が顕著であることが必要となります。裁判例では,親権者による子供の養育監護は原則として違法性が顕著とは言えないと考えていますから,この方法を選ぶ場合には,例外的に違法と言える事情を準備しておく必要があります。こうした例外と言えるには,親権者による養育監護が著しく不当であることを,請求する側が主張・立証しなければならなくなります。こうしたハードルが高いことを考えれば,①の方法を使った方が有効かもしれません。

 

 次回に続きます。

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