法律のいろは

高齢者の預金口座からの不正な引き出しが疑われるときは?

2015年4月23日 更新 

 高齢の方が身体の衰えに伴い、外に出て行くのが難しくなってくると、通帳の管理など身の回りのことを親族に任せがちになってくることはよくあります。

 そのため、気が付くと高齢の方に近い親族が財産管理をすべてするようになり、他の親族は全く高齢の方の財産状況がよく分からず、管理をする親族にお願いしても、通帳の入出金状況を見せてくれないということがあります。

 そういった場合、他の親族は財産状況を明らかにする手立てがあるでしょうか?

 手っ取り早いのは、高齢の方の預金口座の取引状況の開示を銀行に求めるというものですが、高齢の方本人でない、親族による開示請求に対しては、銀行も預金口座を持つ顧客(ここでは高齢者本人)に対して守秘義務があるため、銀行が開示に応じるのは難しいでしょう。

 そのため、預金を管理している親族が成年後見人等でない場合で、高齢者の判断能力が疑われる場合には、成年後見人等の選任申立を検討する必要があります。

 ただ、成年後見人等の候補者が預金を管理している親族以外の親族が就任予定であれば、当該預金を管理している親族による、候補者が成年後見人等になることへの同意を取り付けることが困難である(まず同意しないとみてもよい)と思われます。

 このときは、親族以外の専門職が後見人等に選任されることになり、選任された後見人等が必要であれば財産管理の状況を調査することになります。

 それでは、預金口座を管理している親族が既に成年後見人等であった場合はどうでしょうか。

 その場合は、家庭裁判所にその親族による使い込みが疑われることを理由に、成年後見人等の解任の審判の申立をする・親族が成年後見人の場合は、その高齢者名義の預金口座などから預金を払い戻したりすることを禁止する審判の申立を行う・保佐人、補助人であれば預金の払い戻しについて代理権が与えられているのを取り消すよう審判の申立を行う、あるいは成年後見監督人などの選任の申立を行うことが考えられます。

 高齢の方の財産管理はもちろん、身の回りのことを含めて、特定の親族に任せきりにしてしまうのではなく、できるだけ多くの親族でかかわるようにすることで、こういった親族による不当な財産管理が少しでも防げるのではないかと思います。
 

 

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