法律のいろは

養育費の一括支払いにはどんな問題があるのでしょうか?

2016年2月18日 更新 

 夫婦が離婚後に,養育費の不払いが嫌だと考えた場合に,養育費を一括で支払ってもらうのはどうかという話が思い浮かぶかもしれません。こうした方法がかなうのであれば,不払いのリスクがなくなるのではないかという考えがもらう方にはよぎりますが,問題としてはどのようなものがあるのでしょうか?以前のコラムで触れた点をもう少し深く触れてみます。

 そもそも,こうした場合には一括払いの金額が多額になるため,相手が応じない場合が多いと思われます。支払う側からは,定期的な支払いが通常ですので,無理をして応じる理由があまりありません。

 それに加えて,こういった約束をする場合,将来の事情変更を実際にはどこまで織り込んでいるかは不明ですが,ある程度は予測して決めたのだろうと考えられています。そのため,事情変更が認められにくいという問題があります。

 支払う側から言えば,たとえもらう側に再婚に伴う事情の変更が認められる場合であっても,その程度の事情の変更は予測していたものと扱われて,養育費の返還請求が認められない場合が出てくる可能性があります。もちろん,全ての場合が当てはまるうわけではありませんが,リスクが出てきかねない点には注意が必要です。
 
 また,実際にはみとめられない可能性がありますが,様々な事情の変化(進学に伴う費用の発生等)によって,もらった側から追加の請求を受けるリスクもあります。実際に認められなかったとしても,一度払ったはずではないかと考えている中でこうした請求への対応の可能性があるのは,大きな負担となりえます。

 もらった側としても,裁判例の中には,計画的にもらったお金を使う義務があるとして,学費の請求を認めなかったものがある点には注意が必要です。お金が無くなったら,当然に追加請求が認められるわけではないという点が一番のポイントと思われます。

 このように,一括支払いは,そもそも支払う側が応じにくいうえに,後々の事情変化に対応しにくくなるという欠点があるように思われます。そのため,あまり勧められないものといえますが,事情によっては最初に受け取る話しを付けた場合もありうるところです。そういった点は事情の把握と分析が重要なところと思われます。

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