法律のいろは

不倫・不貞があった場合の慰謝料請求と電子メールの問題(その①)

2017年1月29日 更新 

 不倫・不貞があったということで,配偶者はもちろん相手方に慰謝料請求をする場合(逆を言えばされた場合),争いになる点はいくつか考えられます。その中には,そもそも不倫・不貞がなかったというものが考えられます。そうした場合に,証拠として考えられるものの一つに,電子メールがあります。このほか,LINE等のSNSも考えられますが,今回は携帯電話も含めた電子メールの話を触れます。

 こうした証拠にか様々な問題がありえますが,今回は「そんなメールを送った覚えはない」という反論がメールに対して出された場合の話を触れます。

 

 メールの中で書かれているアドレスの間でメールはやり取りされていますが,そのアドレスが「なしすまし」によって別人が使うことは十分にあり得ますし,そのアドレスを使ったからといって,誰が使ったのかははっきりはしません。そうしたこともあって,メールの証拠に対して,先ほどのような反論は出てくるところです。

 こうした反論は,メールは別人の間のやり取りだから信用性はなく,不倫や不貞に自分が関わっていないということを言いたいという意味を持ちます。電子署名がなされている場合には,その本人がやりとりをしたことを推定する(相手がやりとりしていないことを示す必要がある)という法律の定めがありますが,普通は電子署名がなされることはプライベートのやり取りではそこまでないと思われます。

 

 そのため,こうした場合には,「なりすまし」等で別人が送った可能性がないことを示す必要が出てきます。この場合にやりとりをしたメールに書かれている内容が相手方しか知りえないものであれば,その方がメールのやりとりをしたことを裏付けることになります。また,メール以外に証拠が存在し,そこを踏まえるとそのやりとりがその方たち以外とは言いにくければ,同じように考えることができます。もちろん,前提となることが他を踏まえると他の人が送ったとは考え難い場合には,そもそも争っても言い逃れは難しくなりかねません。

 つまり,他の証拠などから見てメールを別の人が送ったといえるのかどうかは大きなポイントになるでしょう。そこからは分からない場合には情報機器やネットワークに残された情報の確認が重要にはなってきますが,結局はどこまでの証拠が残されているのかを吟味していく作業が重要になります。

 

 この点は請求をしたい側にとっても,請求を受けるかもしれない側にとっても大きな意味合いを持つものと思われます。

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