前回は、労災か判断する要件のうち、出来事が複数ある場合の評価の仕方などをお話ししました。
今回は、労災が認められるための、他の要件について少し触れたいと思います。
○ 対象疾病の発病
心理的負荷による精神障害の認定基準で対象としている病気は、国際疾病分類(いわゆるICD-10)第Ⅴ章「精神及び行動の障害」に分類される精神障害をいいます。
ただし、頭部外傷や脳血管障害、化学物質による病気にように、器質性のもの・有害物質が原因の精神障害は除きます。
○ 業務以外の心理的負荷・個体側要因で対象疾病を発病したのではないといえるには?
このようにいえるには、
・業務以外に心理的負荷・疾病になった人の事情によるとは認められないこと
・業務以外の心理的負荷・疾病になった人の事情はあるが、業務以外の心理的負荷・
個体的要因で病気になったとは医学的に明らかに判断できない。
という、いずれかにあたる必要があります。
本人に既に就職前からそもそも精神疾患があった場合などには、それが発病の原因
と判断するのが医学的にみて妥当かを慎重に判断して、先の2番目の場合にあたる
かを判断することになります。
過重な状況にはないが精神疾患にかかった場合には、精神疾患にかかりやすいと判
断されやすい傾向があるようですので、そうなると、「業務以外の心理的負荷・個
体側要因で対象疾病を発病したのではない」という要件を充たさないケースも出て
くるでしょう。
いずれにせよ、要件を充たすかどうかは、医師の意見と認定をした事実から判断す
ることになります。
早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。
© KEISO Law Firm. All Rights Reserved.