法律のいろは

離婚と住宅ローンの対応(その③)

2013年12月31日 更新 

 前回まで,夫婦が結婚してから家を買い,その家に関して住宅ローンを組んだことを前提に話をしました。今回もその前提で話をしますが,今回は家を売却する場合はどうするのかという話について触れてみたいと思います。

 

 前回・前々回に使った例を今回も使います。まず,再度その例を挙げておきます。夫婦で築いた財産はマンションしかないけれども,築15年のマンションで1000万円しか価値がありません。しかし,住宅ローン額は2000万円残っています。家の名義は夫で住宅ローンを借り入れたのも夫です。妻が保証人となっています。

 この場合に,マンションを売却すると当然のことながら1000万円のマイナス部分が出てきます。マンションを売却する場合には,任意売却と呼ばれる不動産仲介業者に買主候補を探してもらい売却する方法が使われることが多いと思われます。この場合には不動産仲介業者に払うお金を含めて売るための費用が出てきますが,その費用は売却代金(先程の例では1000万円で売れた場合には1000万円)からまかなうのが通常です。そのため,住宅ローン部分がマンションの価値だけ当然に実際に減るわけではありません。そもそも,本当に実際に1000万円で売れるのかという問題もあります。

 

 当然先程の例では,残った住宅ローン部分をどうするのかという問題が出てきます。金融機関との関係では,夫が借主【主債務者)・妻が保証人であることは変わりません。別々ではありますが,二人とも負債を負っている状況には変わりません。そのため,仮に売却という選択肢を取る場合にも,誰が実際に支払の負担をするのかということを決める必要が出てきます。この部分を柔軟に決められるのが話合いのメリットではありますが,前回・前々回に触れましたように,仮に夫が払うことにしても,いざ夫が支払えなくなった場合には妻へ支払請求が来て知らないところで自己破産のリスクを負うことになりかねないのが問題点として残る点には注意が必要です。

 

 こうした例に比べて,先程の例でマンションを売却した後にお金が残る場合(そもそも,オーバーローンでない場合・オーバーローンだけれども,他の資産と差引威計算をすると全体としてプラスになる場合)には,話が簡単になる面があります。その話については,次回に触れたいと思います。

 拙い話のコラムで大変恐縮ですが,来年もこのコラムを宜しくお願いします。

 

 

 

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