法律のいろは

熟年離婚の際にポイントとなることとは?(その⑩)

2014年1月2日 更新 

 熟年離婚に関して,前回は退職金について・前々回は家に関してある程度触れました。今回と次回は,これらの話の補足をしていきたいと思います。

 

 既にこうした話は離婚と財産分与に関してある程度触れた話ですが,いわゆる中高年における熟年離婚では,老後の生活に関わることから大きな問題となってきます。今回は,前回触れた退職金の話について触れていきたいと思います。以前触れましたように,数年後に退職することが明らかで退職金の額もはっきりしている場合には,数年後(つまり実際に定年退職する際)に実際にもらうであろう金額を現在の金額に引き直して計算するという方法が取られるケースが多いと思われます。ここでいう現在の金額に引き直して計算するというのは,交通事故の将来得たであろう収入の損害の計算と同じように,ライプニッツ係数というのを用いて行う例が多い印象です。

 

 同じことは企業年金についてもあてはまります。厳密な金額としては,結婚するまで既に働いていることも多いでしょうし,その場合に,退職金全額を夫婦で築いたから清算すべきというのも妥当なことではありません。これは,退職金が賃金の後払い・報償的な性格を持ち,かつ結婚していない時期の部分は,夫婦が協力して得たものとは言い難いからです。その場合に,どれだけの部分を清算の対象にするかは問題になります。企業によっては計算式がはっきりしていることも多いと思われます。その場合は,その計算式によることになるでしょう。しかし,はっきりしていないケースもあります。また,ある程度の年齢になると退職金が大きくなることもあり,その場合をどうするのかという話があります。

 通常は,退職金予定額を今の価値に直したもの÷勤務年数×結婚期間,で計算した金額を財産分与にする清算の対象にすることが多いです。問題は,離婚をする現在時点では実際にもらっていないのに,どのようにして清算するのかという点です。話合いで合意ができるのであれば,将来(実際に退職金を盛る際)に,支払いをするという約束をして離婚協議書や離婚調停調書で書類の形にしておくことができます。その際には,実際にもらう時という抽象的な話ではなく,確定させた金額をもらう時期(これは,退職金全額が対象なら,退職日時ではっきりするところです)から手続きに必要な期間(たとえば,2か月)経過した時期と定めておくことが必要です。

 

 このように,熟年離婚における財産分与はシビアな問題もありますので,きっちりとしておく必要があります。

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