法律のいろは

内縁の相手方が亡くなった場合はどうなるの(その③)?

2014年1月24日 更新 

 以前,内縁の関係にある方が亡くなった場合に,内縁関係では相続人にはなれないという話をしました。その際に,特別縁故者の話に触れました。今回は,この特別縁故者について,少し触れていきます。

 

 前々回に触れましたように,特別縁故者として財産を取得するためには,法律で定められた相続人がいないことが必要です。こうした相続人がいないかどうかは,戸籍などから分かるところもある程度ありますが,法律上相続人がいるかどうか不明な場合屋いない場合には,相続財産管理人が選ばれて,財産の精算をすることになります。

 財産と負債を確定させていくとともに,相続人がいるかどうかもはっきりさせていきます。相続人に関しては官報に公告をだして,相続人がいるかどうかの捜索(現実に探しに行くわけではありません)を行います。相続人に一定の期間内に届け出てほしいという案内を官報に出すわけです。この一定の期間が経過しても届出がない場合に,特別縁故者に財産を分けてほしいとの申立てをすることになります。この申立は,自分が特別縁故者に該当するのだから認めて財産を分けてほしいと思う方から家庭裁判所に申し立てることになります。

 その方が特別縁故者かどうか・どのくらいの財産を分けるかは家庭裁判所で判断することになります。ここで特別縁故者と認められて財産を分けることが認められて,はれて財産を引き継ぐことができます。ただし,こうした申立は期間が定められていますし,こうした申立ができる段階以前に亡くなった方の財産は清算されることになります。そのため,負債の方が多い場合には,清算で財産がなくなりますから,そもそも分ける財産は有りません。あくまでも清算をしたうえで残った財産が存在した場合に財産を引き継がせるかどうかという話になります。内縁の関係にあった方は財産を分けてもらうことができなくなります。

 

 注意点は,これまで内縁と言える関係だからといって,必ずしも財産を分けてもらえるとは限らないことです。債務の方が多ければ,当然分けてもらう前に財産はなくなりますし,特別縁故者といえるのか・特別縁故者であってもどのくらい財産が配分されるかはケースバイケースという点です。ここでは特別縁故者といえるためには単なる付き合いや交際関係が亡くなった方と特別縁故者であるとする方との間にあるだけでは足りず,これまで生活を一緒にしていた・身の回りの世話をしていたなど亡くなった方の財産で清算済みのものをその方の生活資金とする必要性などが高いと個別の事情から言える方である必要があります。制度上は,一時期しか縁故がない方も含まれるとされていますが,制度上想定されているのは内縁の配偶者や事実上の養子(養子縁組はしていない方)となります。どこまでの剤s難お分与を受けるかも家庭裁判所の判断で決まりますが,内縁の配偶者しか縁故者がいない等の場合には,その方にすべての財産が分与されることも多いのではないかと思われます。

 また,法律上一定の期間が公告等に要求されているため,特別縁故者として認められ財産の配分を受けるまでは,ある程度というかかなりの時間がかかる点にも留意しておく必要があります。

  特別縁故者に当たらないとされる場合には,これまで内縁の配偶者のために支出したお金の回収を図りたいというご希望が出てくるかもしれません。法律上はやや矛盾した根拠ですが,財産管理などの委託を受け管理などを行ったことについての費用の支払い請求・義務はないが身の回りの世話をしたことで,内縁の相手方が利益を受けたのだからその費用の支払い請求を求めるなどの対応が考えられます。この場合には,内縁の相手に相続人がいれば相続人に対して,相続人がいない場合には相続財産管理人の選任を申し立ててその方に対して請求をすることになるでしょう。

 内縁の相手にお金がない場合や相続人が相続放棄をした場合には回収が難しくなることもありえます。また,財産管理の委託を受けたという根拠(証拠)や費用がいくらなのかをその根拠とともに示すことなどの点で,ハードルがありえます。資料をとっていないことも十分にあるためです。

 

 ちなみに,亡くなったからお金(財産)の配分を受ける形の制度ですので,その金額評価如何では課税の問題が出てきます。こちらも注意が必要でしょう。少し詳しく触れますと,相続税法上特別縁故者として財産の分与を受けた際の時価額で遺贈を受けたものとして扱われます。相続税に関する制度上の控除などの制度を使って税額が発生するのかどうかを確認しておいた方がいいでしょう。

 次回に続きます。

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