2014年1月26日 更新
先だって,DNA鑑定で生物的な親子関係が父子の間で無かったという記事を見かけました。この場合に,親子関係はないではないかというのが直観ですが,はたして法律上もそうなるのかがここでの問題です。
この場合に,法律上の親子関係を否定できないのはおかしいという考えが出てくるかもしれません。既に触れたように,親子関係を否定するには
①嫡出否認の訴え
②親子関係不存在確認の訴え
という裁判手段があります。結婚した夫婦の結婚後200日経過後・離婚後300日以内に生まれた子供は,夫婦の子供と推定され,法律上の親子関係が生まれます。これを否定するには,原則的に①の方法によるしかありません。ただ,この方法は,自分の子供と認めた・子供の出生を認識した時から1年が過ぎた場合には,①の方法は使えなくなります。
自分の子供と認めたというのには,命名した・知人に子供の誕生を伝えた・出生届を出すだけでは当てはまらないと考えられています。子供の出生を認識した時から1年では短すぎるのではないかという考えもあって,どこから1年の経過とするのかをゆるくとらえようとする考え方もあります。そうした裁判所の判断も一部ありますが,どこまで広まっているのかという疑問はあります。
ただ,一般には,子供の生まれたことを認識してから1年を原則にするけれども,夫婦の関係から見て明らかに夫婦の子供であると考え難い事情があれば,①ではなく②の方法を使えると考えられています。①ではなく②の方法を使えるメリットとしては,一番は期間の制限がないこと・次に①は結婚した夫婦の夫(法律上の子供の父親)しか提訴できないけれども,②は提訴できる人の制限が緩やかになるということです。
そうすると,長期間にわたって別居し交流がない状況で妻が妊娠して出産したなどの状況がない場合には,①の方法しかないということになります。子どもが生まれて何年もたって,自分の子供ではないのではないかという考えが浮かんで,DNA鑑定をしても法律上の親子関係が続く可能性は十分にあるところです。
法律上の親子関係は,相続はもちろん養育費などの支払義務など様々な負担などを伴う重要な点です。早期に親子関係を確定するために,そう簡単に否定できないように設計されている点には色々と議論がありそうです。
次回に続きます。
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