法律のいろは

内縁の相手方が亡くなった場合どうするの(その④)?

2014年1月31日 更新 

 内縁の相手方が亡くなった場合に,一緒に築いた財産がどうなるのかなど話を以前触れました。今回は,相手方の名義で家を借りていた場合に,死後どうなるのかという点を触れてみたいと思います。

 

 この場合に,貸主と協議して自分の名義に変更したうえで,自分が住むというのであれば問題は当然起きません。問題はこうした話合いができない場合には,借主の相続人には内縁関係のままではなることができません。そのため,借りて住む権限がないので,貸主から出て行ってほしいと言われれば,出て行かないといけないのかという点です。これまで長く住んでいた場合には,生活基盤を壊されかねませんので,大きな問題ともなりえるところです。

 

 この問題に関しては,亡くなった相手方に法律上の相続人がいない場合には,法律の定めがあります。借りているのが居住用の借家であれば,原則として,内縁の相手方が持っていた借主としての地位を引き継ぐことができます。そのため,自分が借主となって住むことができます。当然,家賃の支払い義務は今度は自分で負うという点には注意する必要があります。

 これに対し,亡くなった相手方に法律上の相続人がいる場合には,相続人が引き継ぐ賃借人としての立場を主張して貸主からの明け渡し請求を拒むことができるという扱いが裁判例上確立しています。この場合,相続人の側から出て行ってほしいと言われたらどうなるのでしょうか?相続人自身にその家に住む差し迫った必要がない場合には,自分の権利を濫用しているという扱いを受け,出て行くよう求めることはできないという扱いが裁判例上確立しています。ただし,権利の濫用に当たるのかどうかは個別の事情によって変わってくるものなので,この扱いが裁判例上確立していても,全てのケースにおいて権利濫用だから退去要求に対して拒否ができるわけでもない点には注意が必要です。あくまでもそれまでの事情などを考慮してからの話になります。

 

 次に持家だった場合にはどうなるのでしょうか?これは,内縁の相手方だけの名義であったのか・自分との共有であったのかという点を分けて考えていきましょう。

 まず前者についてです。注目すべき裁判例(高等裁判所の判断)があります。詳しくは次回に触れますが,問題となったケースは内縁関係にあって男性側所有の家に二人が居住していたところ,男性が死亡後に男性の子供が女性側に家を出て行くように求めたものです。厳密には,男性名義の預金の払い戻しに関する請求や女性が家に住み続ける事への賠償請求もしているものです。

 問題となったのは,女性にその家に住む権利があるのか・あるのであれば,その権利の内容は何か・ないのであれば,請求が認められない事情があるのかという点です。この問題点について,裁判所は内縁関係の事情などを考慮して判断しています。

 

 結論としては,女性側の住む権利を認めたのですが,その理由や判断の詳細は次回に続きます。

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