法律のいろは

子ども名義で積立している預金から一方の親が勝手に引出し・解約できるでしょうか(その②)?

2014年2月12日 更新 

 前回,子ども名義の預金から勝手に引出をした場合の問題点を触れました。今回もその続きなのですが,その前に預金は誰のものかという話を触れたいと思います。

 

 預金は,名義人のものではないか・いや口座を開設した人だ・口座にあるお金を負担した人だと色々な思いを持つ方がおられるのではないかと思われます。特に,まだ小さな子供さんの名義の預金では,子どもの名前でお金を積み立てているだけで親のものという意識の方が多いのではないでしょうか?

 ここ10年近く本人確認を求められるようになりましたので,現在では別人の名義で口座を作るのは,一般には難しくなっているところです。

 

 この話は,定期預金と普通預金で少し変わってくるところがあります。定期預金と普通預金の違いは何でしょうか?定期預金は中途解約もできますけど,普通は一定の期間お金を預け入れておく種類の預金(契約)です。これに対し,普通預金は通常は,中に預けたお金を日々引き出し預け入れることを予定したものですね。中に入っているお金の出入りの頻度やお金の入れ替わりの点に大きな違いがあります。

 こうしたこともあって,一度お金を預け入れると基本的には満期までそのままである定期預金では,預金したお金の出所になった人を預金者とするという扱いが裁判例上認められています。つまり,子どもの名義を使っていても,親が預金者ということになります。もちろん,子供の将来のため,渡すつもりであって子供もそのつもりであれば,子どもに贈与されたことになるので話は変わってくることがあります。

 

 これに対して,普通預金の場合はどうなるのでしょうか?普通預金の場合には,口座を開設した際のお金も出て行く可能性が強いことから,口座を開設した際に預けたお金をだしたという理由で,その後も預けたお金がその方の負担でない場合にまでその方のものとするかどうかには問題が出てくるところです。逆に,預け入れたお金ごとに誰のお金か(預金者が誰か)がバラバラになるのも,一つの預金なのに実態にあっていないことになりかねません。このような複雑な話がある中で,誰が預金者なのかは難しい問題があります。

 少し話がそれますが,預かったお金をプールしておく口座のように,普通預金でも定期預金に近いくらいお金の出入りが限られていれば,定期預金と似たような考え方もできるところですね。

 このような状況で普通預金の預金者をどう考えていくのかという点については,次回に裁判例に関して触れたいと思います。

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