法律のいろは

こんな理由で離婚が認められますか?(その⑮)

2014年2月18日 更新 

 前回、法律上、離婚が認められている理由の一つである、「配偶者から悪意で遺棄されたとき」のお話をしました。

 裁判の上では、しばしばこの「悪意の遺棄」を主張することが見られますが、実際のところこれを理由に離婚が認められた事案は多くはなく、むしろ「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるとして離婚が認められるケースの方が多いようです。

 「悪意の遺棄」を理由に離婚を認めたケースとしては、積極的に一方の配偶者の人格を否定するような言動を繰り返したことから、その配偶者が子どもを連れて出てしまい、以後の生活費をまったく支払っていない場合があります。このケースでは双方が「悪意の遺棄」を理由にした離婚の請求をしているようですが、結婚生活の破たん原因を作ったのはどちらなのかという観点から検討しています。

 つまり、子どもを連れてでてしまった配偶者のサイドよりも、そもそも出ていかざるを得ない原因を作り出した側にこそ責任がある、そして、生活費を全く支払っておらず、お互い協力助け合うことを拒否していることに注目しています。

 また、身体障碍者となっている配偶者を置き去りにしたまま、家をでてしまった者について、同居をしなくなるに至った原因(

背後に異性問題があったことが認定されているようです)、生活費を入れていないこと、配偶者の障害の程度、別居期間の長さなどに着目をして、婚姻関係が成り立たなくなるような状況を積極的に作り出していることから、「悪意の遺棄」にあたると判断したものもあります。

 この二つの裁判例の共通点としては、生活費を入れていないという点が挙げられると思います。そして、それに加え、前者は積極的に他方が家にいることができない状況を作り出し、その結果その配偶者が出ていってしまったというケース・もう一つは異性問題(不倫・不貞行為)が背景にあり、それを理由に別居するようになったというもので、別居に至る正当な理由がない場合です。

 これに対して、生活費は全く入れていないわけではないというケースでは、家に帰ることが少なかったというだけで「悪意の遺棄」とまでは認めていないようです。

 そうはいっても、結局のところその他の事情を踏まえて、婚姻生活を続けるのは難しいといえるようであれば、最初に述べたように「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして、離婚は認められると思います。

 

 

 

 

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