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離婚と親権(その⑮)子の引渡しの裁判例紹介

2014年2月17日 更新 

 未成年の子供がいて別居の際に,片方の親が子供を養育監護し,それに対して他方の親が自分に引き渡してほしいと求めることがあります。以前触れましたように,いかに離婚前で子どもに対して,夫婦二人が親権者である場合でも,無理に今の生活環境から連れ去った場合には誘拐の罪にあたる可能性が出てきます。

 

 このほかに,連れ去られた方の親から,連れ去った方の親に対して,家庭裁判所の手続きを使って子どもの引渡しを求めることができるのかという問題があります。今回は,こうしたケースを扱った裁判例を紹介します。

 問題となったケースでは,父親が子どもの監護をする形で別居がなされており,離婚の関する話合いがうまくいかない状況で,面会交流に関しても中々話が進まないケースでした。この状況で,母親が子供を通っていた保育園から連れ出したものです。こうした状況で,父親側から,子どもの引渡しを求める審判の申立てを前提に,緊急に子どもを引き渡すよう要求する保全手続きの申立てがされました。この裁判例は,この緊急的な手続きでの裁判所の判断となります。

 

 裁判所の判断は第1審と高裁で全く逆の結論になっています。第1審では,母親による連れ去りに問題が大きいことは認めつつも,違法性が顕著でない限りは色々な事情の考慮要素の一つにすぎないと判断しています。そのうえで,違法性は顕著ではなく,これまでの子どもの養育監護は母親が中心であった・父親の養育監護は時間が短い等から,子どもの福祉の点からはどちらの親も問題はなく,わざわざ現在の環境を変える必要はないとのことから,請求を認めていません。

 

 これに対し,高裁では,①別居中の夫婦の間で,一方の親が子供を現に養育監護している場合に,そこから連れ去りがあるケースでは②緊急的な引き渡しを求める手続きをすれば③子どもを引き渡すことで,子どもの健康などに影響が出るなどの問題が出ない限り,引渡しは認めるべきと,判断しています。

 

 簡単にまとめれば,第1審と高裁では,連れ去りの違法性に関する認識が大きく違います。また,第1審ではあくまでも子どもの福祉を考えるうえでの一要素に過ぎないのに対し,高裁では原則引渡しを認めるべきと判断しています。ただし,高裁も緊急的な手続きを取った場合にはと限定を付けていますので,こうした手続きを取らなかった場合には判断が変わってくる可能性はあります。

 以前も触れましたが,子どもの連れ去りに関しては,早急な法律にのっとた手続きを行う必要性があります。

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