別居後に同居を求めることができるかについて,だいぶ前に触れました。結婚している間は,「正当な理由」がないかぎりは同居義務があるという話をしました。
問題なく,「正当な理由」があると判断されているものとして
①同居を求める配偶者の側に別居に至った重大な原因があるもの。
重大な原因としては,不倫をした・暴力や虐待行為,重大な侮辱などのひどいDVがある
②同居することが事実上無理である場合
たとえば,夫婦のどちらかが入院している等の事情がある場合
③仕事上・子どもの養育上の特別の必要がある場合
があるという話は以前にもしました。
今回は,一つ裁判例を紹介します。ケースとしては,夫婦の一方が不倫をしたところ,他方から厳しく責められたため,一度は不倫相手と別れたけど,再度交際し始め別居に至ったというものです。別れた後も,他方配偶者からの追及が厳しく責められて夫婦喧嘩が続き,不倫をした配偶者が夫婦としてやっていけないのではないかと考えた事情があるようです。
こうしたケースに関して,第1審と第2審で判断が異なっています。
第1審は,別居の原因は不倫であり,他方配偶者の攻め立てる言動が激しいものであっても,不倫を辞めれば収まるであろう等という理由で同居を命じています。夫婦関係は修復が十分可能という判断ですが,夫婦関係不和の原因は不倫であり,それは別居した配偶者の側の責任という判断が強く働いているものと思われます。
これに対して,第2審はこうした判断が不当とは言えないとは述べつつも,夫婦が共同生活を送るための信頼や愛情を失い,同居することで夫婦がお互いを傷つける可能性が大きい場合までは,同居を認めるべきではないと述べています。
そのうえで,不倫をされた他方配偶者の不倫を攻め立てる言動の内容(衝動的な態度や激しい行動)・攻め立てることから口論が夫婦間で続き夫婦として生活することが難しいと不倫をした配偶者が考えるに至ったことなどの事情を考慮して,同居は認めるべきではないと判断しています。
先ほど,第1審が必ずしも不当でないという話がありましたが,別居してからの期間(1年数か月)であれば,夫婦関係の修復は不可能背はないというてんからのものです。
あくまでも,夫婦間のやり取りの内容や別居に至る色々な事情が考慮されるということです。不倫をした側に対する同居請求が必ず認められるわけでも,逆必ず認められないわけでもないように思われます。
早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。
© KEISO Law Firm. All Rights Reserved.