法律のいろは

裁判離婚について(その⑭)

2014年3月12日 更新 

 離婚裁判を起こされて、離婚はしたくないが、このままだと離婚が認められそう、そういった場合には離婚が認められ、仮に分与対象となる財産があっても、分与を求めることができなくなってしまいます。

 そういった場合には、仮に離婚が認められたときに備えて、付随的に財産分与の申立をしておくというケースが時々あります。とくに熟年離婚のケースでしばしばみられるような気がします。

 それでは、1審の裁判のときに離婚を争っていたものの、離婚が認められてしまった、でもやはり離婚はしたくない、他方このままでは離婚となり、何も取れなくなってしまうかも…というとき、控訴審になって(仮に離婚が認められた場合に備え反訴するとともに)初めて財産分与の申立をすることはできるでしょうか。

 通常の民事裁判の場合ですと、一審で主張していないことを控訴審で主張する場合、相手方の同意が必要であるのが原則です。これは、民事手続きでは、1審、控訴審、上告審と3段階で裁判を受ける権利が保障されているのに、いきなり2審になって主張することを認めてしまうと、その後争う場合(通常)最高裁判所での判断しか受けられないため、それでは申立をされたものの、3段階で裁判を受ける機会が奪われてしまうのを防ぐためです(逆に、相手方が2審からの裁判でいいというのであれば、特に相手方も不利益はないといえるからです)。

 ただ、離婚裁判のような家庭内の出来事に関する事件で、通常の民事裁判と同じ原則を貫くと、結局のところ問題が残ってしまい、かえって(事実上)紛争が長引くことになりかねません。

 ですから、離婚裁判のような家庭内の紛争に関する事件については、たとえ控訴審からいきなり財産分与の申立をしてきたとしても、紛争をできるだけ1回の判断で済ませようとの配慮から、相手方の同意の有無にかかわらず認められるとされています。。

 

 

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