法律のいろは

ハーグ条約(国際離婚と子供の問題)(その①)

2014年4月4日 更新 

 昨年,少しハーグ条約(国際的な子の奪取に関する民事的側面に関する条約)の内容について触れました。今年の4月1日からハーグ条約を日本でも実施する上での法律が効力を持つことになりましたので,どんな制度なのかを改めて触れていきたいと思います。実際の運用がどうなっていくのかは,よく分からない点があります。

 

 まず,法律はハーグ条約と同じ目的をもつものです。その目的は,①不法に連れ去られた②16歳未満の子供を③連れ去られる前の常居所地国に戻す,というものです。不法な連れ去りとか常居所地国とか見慣れない言葉が並んでいますが,適宜触れていきます。常居所地国に戻すと言っても,実際には連れ去られた親の元に戻されるのではないかという話が出て来るところですが,法律の建前では連れ去られた親のもととはされていません。

 法律の内容としては,先ほど挙げた目的のための裁判等の手続き(内容は裁判手続きだけではありません)も定められています。子供の返還手続きの定めと面会交流の定め(いずれも国境を超えた子供の連れ去りなどがあったことを念頭とする)が置かれています。そのため,日本での子供の引き渡しや面会交流の話にはこの法律は対象となりません。

 

 対象となる子供は,先ほども触れましたように16歳未満です。日本国内の話だと未成年(20歳未満の子ども)の面会交流や引渡しの話しとして出てきますが,対象となる年齢は違っています。ちなみに,15歳以上の子どもについての面会交流は日本ではその子供の意見を聞き,それを尊重する扱いです。

 また,不法に連れ去られた(留置については後で触れます)場合に限られます。ここでいう不法とは,連れ去りの時までに子供が常居所を有していた国の法律(厳密には国でないこともあります)から,子供の監護権を侵害していると考えられる場合です。

 

 先ほど,子供の返還という話をしましたが,法律ではどうなっているのでしょうか?まず,フランスで暮らしていた親子の簡単な例を挙げてみます。父がフランス人・母が日本人です。子供は13歳とします。夫婦仲が悪くなった後に,日本人の母が子供を連れて日本に帰ったとします。フランス人の父が子供の返還を求める場合にはどうなるのでしょうか?

 

 この際の手続きは少し長くなりますので,次回以降詳しく触れていきたいと思います。

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