法律のいろは

不倫・不貞と慰謝料請求(その⑲)

2014年5月2日 更新 

 不倫・不貞行為について、慰謝料請求されたとき、時々請求された側がする主張(難しい言葉で「抗弁」といいます)として、過失相殺の主張があります。

 過失相殺とは、損害賠償の額を決めるにあたり、両者(加害者・被害者)の公平を図るため、被害者の方に過失があった場合、その過失を考慮するというものです。過失相殺といえば、交通事故ではよく主張されます。

 この、過失相殺を不倫・不貞行為の場合にどのように主張するかというと、要はそもそも配偶者の一方が、他方に不倫・不貞行為をされる原因を作ったから、結果的に不倫・不貞行為をされたのではないか、ということが考えられます。たとえば、家庭生活が冷え切っていて、寂しい思いをしていた者が不倫・不貞行為に走った、その、家庭生活が冷え切る原因を作ったのが、他方配偶者の、仕事などの悩みを聞いてくれない冷たい態度にあったなどという主張をする場合があるでしょう。

 では、実際のところ過失相殺の主張はどのくらい認められているかというと、筆者が見る限りはないようでした。裁判例では、過失相殺の主張について理由は述べずにあっさり否定しているようです。

 仮に家庭内が冷え切った状態になっていても、どちらにその責任があるかの判断は難しく、過失といえるか疑問であるというのが理由ではないかと思います。

 逆に過失相殺の主張をすることによって、不倫・不貞行為をされた配偶者の感情をかえって刺激して、ややこしくなる可能性もあります。

 先に述べた交通事故のケースだと過失相殺の主張をするのが一般的だと思いますが、こういった不倫・不貞行為の場合、広い視点で見て、本当に過失相殺の主張をすることが意味あることか、刺激してさらに話がまとまらなくなってしまうことがないかよく考えてから主張する方がよいでしょう。

 

 

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