法律のいろは

モラルハラスメントと離婚理由

2015年1月19日 更新 

 昨日はデートDVについて少し触れましたが、この「モラルハラスメント」も最近では一般的によく聞くようになりました。先日もある夫婦で一方が「モラルハラスメントを理由に離婚」とのニュースが出ていたところです。

 だいぶ前に、離婚原因の中でこういったモラルハラスメントの主張が出てきた場合についてお話したことがありますが、今回改めて少し取り上げたいと思います。

 ちなみに「モラルハラスメント」という言葉は日本の法律の中では出てきませんが、一般的に身体的な暴力ではなく、精神的な暴力、言葉による暴力をいいます。
 
 「死ね」のような脅迫にあたるものはもちろん、「お前は生きる価値がない」とか「馬鹿」のようなものでも、このモラルハラスメントにあたりうることになります。

 こういったいわゆるモラハラを理由にして離婚を一方が求めて話がつかず、離婚裁判になったときは、どのような離婚理由にあたるということになるでしょうか。

 モラハラは、民法にあがっている離婚理由のうち、具体的に挙げられているもののどれにもあたらないため、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)にあたるかが問題になってきます。

 ただ、モラハラあるいは精神的な暴力などのみを理由に離婚を認められたケースはないようで、逆にモラハラを行った加害者が離婚を拒んだケースで、結婚生活の修復の余地ありとして、離婚請求が認められなかったものさえあるようです。

 その理由の一つに、モラハラの証明が難しいということがあるのではないかと思います。  これは前にも触れていますが、診断書や写真など比較的証拠が取りやすい身体的な暴力と異なり、モラハラは形で残りにくいものです。それこそ、発言を録音したものがあるといいですが、そのタイミングで録音するのはなかなか難しいと思います。 最近はメールやLINEでのやりとりで残っていることもありうるので、そういったものを保存しておくとよいでしょう。 あるいは日記などでできるだけその出来事があったときにメモを残しておくのも一つです。場合によっては隣人など第三者の証言による証明もありうるでしょう。

 また、身体的な暴力はないものの、物に対する暴力がある場合もあります。その場合は、たとえば穴が開いた壁の写真とか、壊れた食器類の写真などを撮っておくとよいでしょう。

 それでもなかなかモラハラだけで離婚が認められるのは難しいことがありえますから、たとえば生活費を入れてくれないなど、他の主張もできるのであれば、そういった主張と併せていうのがよいでしょう。

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