夫から直接的な暴行はないものの、大声で怒鳴ったりする、物を壊す、あるいは被害者である妻の体には直接あたらないものの、すぐ近くに物を投げてきたりするが、こんな場合でも、接近禁止などの保護命令の申立ができるのでしょうか。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)にいう、保護命令が認められるためには、いくつか要件を満たす必要がありますが、その中に、「被害者」(配偶者からの身体に対する暴力または生命等に対する脅迫を受けたものに限る)であることというのがあります。
そのため、表題のケースでは、
・大声で怒鳴る→内容が脅迫(被害者の生命・身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫)に あたること
・物を壊す→身体に対する暴力・あるいは生命身体に対する脅迫といえること
が必要になってきます。
後者の物を壊す、ということが身体に対する暴行にあたるかは事情によりますが微妙なところであり、物を壊す態様(どんな物なのか、どういった壊し方をしているかなど)によって脅迫にあたるか判断していくことになるでしょう。
ただ、いきなり物だけ壊すというのではなく、なにがしか脅迫にあたるような言動を伴うことが多いでしょうから、そこから「脅迫」があったと主張することもできると思われます。
ちなみに、直接的な身体的暴行ではないものの、拳を顔すれすれで止める「寸止め」を繰り返し受けたことで、PTSDになったケースで、「配偶者から暴力を受けた者」にあたるとして保護命令を発令したものがあります。
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