法律のいろは

面会交流を柔軟に命じた事案

2015年3月27日 更新 

 面会交流については、調停申し立て後もなかなか現に子どもをみている親の協力を得られないため、遅々として進まないケースがよく見られます。こういった場合に、審判前保全処分という手続きを使えるかどうかというテーマでお話ししましたが、これも限定的な場合にしか認められていません。

 ただ、かつてはもう少し柔軟な形で面会交流を裁判所が命じたケースもありました。

 これは、離婚裁判中の夫婦(父が監護権者・母は非監護権者)で、母が父に対する面会交流の仮の処分を得たあとに、子どもの監護者指定と引渡しを求めていたというものですが、裁判所が子どもの監護者指定等の事件の中で、宿泊付き面会交流を命じています。

 このケースでは、子どもをみている父が母と子どもの面会を妨げるような働きかけを行い、それが子どもの成長にも悪影響を与えていると思われる状況になっていることから、できるだけ早期に子どもたちを母親と面会させることで、今子どもたちがもっている母親像を払拭させる必要があるとしています。そして、母親と子どもたちが隔週で宿泊付き面会交流を行うこと・それ以外の長期の休みにも宿泊付き面会交流を行うようにとの判断をしています。

 子どもたちと、子どもたちを見ていない親との面会は、特に離婚調停・裁判の最中であるときは、双方の感情のぶつかり合いがあり、ときとして子どもの成長のためのの面会交流という部分が影をひそめてしまうことがあります。

 この裁判例では、子どもが母親に対して否定的感情を強くもっている現状では、面会交流をスムーズに行うことが難しいであろうことは認めつつも、それでもそれを乗り越えて行うことこそが子どもの健やかな成長にとって必要と考えているのが見てとれます。

 面会交流は特に子どもが幼い場合は長期間に渡るため、一旦取り決めたルールを適宜修正しないといけないことが多いですし、面会までの間があけばあくほどその実施が難しくなることがまま見られます。子どもにとって真に必要なのはどういった親子の関係か、この裁判例は一つの示唆を与えてくれるものといえます。

 

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