法律のいろは

親権者を誰にするかということと子どもの思い

2015年3月30日 更新 

 これまで、親権者指定については何度は触れてきました。

 
  今日は、そのうち、子どもの思い・意向が親権者を誰にするか決めるにあたってどのくらい考慮されるのかについて考えてみたいと思います。

 これは子どもが何歳かによって柔軟に考えていく必要があります。

 子どもが10歳くらいになるまでは、食事や入浴、寝かしつけなど子どもの身の周りの世話全般にわたって行っている親が親権者とされることがが一般的でしょう。
 
 乳幼児はもちろん、小学校に上がったばかりの子どもの場合、思いといってもそのときそのときで変わる場合もあります。子どもは自分の好みのものに惹かれやすいので、たとえば好きなキャラクターに関するおもちゃやお菓子を簡単に与えてくれるというだけで、その親の方がいいということもありがちです。ですので、子どもの思い・意向をまったく考慮しないという訳ではありませんが、子どもの思いなどを重視しすぎるというのは、子どもの将来にとって適切といえない場合があるので、現実的には難しいです。

 15歳以上になると、民法上、子どもに遺言や養子縁組、離縁をする能力を認めているので、子どもの思いが尊重されます。親権者・監護権者を決める上でも、その子に意見をいう機会を与えなければならないとされています。

 
  家事事件手続法の改正で、子ども自身あるいは裁判所で必要があると考えたときは、弁護士などを手続代理人として選べる制度も新たに作られました。そのため、こういった制度を通じても子どもの思い・意向が考慮されるようにもなりました。

 

 一番難しいのは10歳~15歳にならない子どもですが、子どもの思い・意向があれば重視すべきでしょう。小学校・中学校に通っている場合は、友達や学校の先生との結びつきもあるので、たとえば他方の親がみるようになると、今の学校を転校しなければならなくなる場合、子どもが乗り気でないということもあります。できれば生活環境が急激に変わらないような形で親権者を決めるべきです。

 いずれにしても、子どもにだけどちらの親がみてくれるのがいいかという重要な選択を任せてしまうのは、余りにも荷が重いことですので、あくまでも親権者を誰にするのがふさわしいかを決める要素の一つとして考えていくのがよいでしょう。

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