法律のいろは

相続と口座からのお金の引き出し(その②)

2015年4月5日 更新 

 親御さんがなくなった際等に,生前あるいは死後,亡くなった方の銀行口座からお金が引き出されていた場合の話を前回触れました。前回は,生前からなくなった方の世話をしお金を管理していた方がいて,お金が毎月数万円程度引き出されており,亡くなった時には数百万円は口座に残っていたというケースを触れました。

 今回は,その続きです。別のケースとして,前回とは違い,世話をしていた方が世話を始めて以降,時々数十万円クラスの引き出し(場合によっては100万円程度,ATMからの引き出し限度額は何もしなければ1日50万円が限度ですが,拡大をすれば100万円はありえます)が何度もあり,亡くなられた方が死亡する際には,ほとんどお金が残っていなかったケースを考えてみたいと思います。この場合に,まずお金を引き出した方が誰なのかが問題になってきます。もちろん,各引出ごとに違う可能性もありますから,慎重に考えていく必要がありますが,通常は亡くなられた方か管理をしていた別の方の可能性が高いものと思われます。


 まず,亡くなられた方の体調が健康な際には,自分で引き出した可能性も十分ありうるところです。ただ,つきっきりの世話が必要な場合には,亡くなられた方ご本人が多額のお金の引き出しをすることが困難なことも多々あるところです。不可解なお金の引き出しは悪徳商法の被害の可能性もあるところ(ご本人がお金の管理や引き出しをできるケース)ですが,世話をしていた方の引き出しの可能性が出てきます。誰が引き出していたかは,亡くなられた方の当時の健康状況やお金の管理を誰がしていたのか等によって変わるところです。問題は管理をしていた方が引き出していたケースです。

 この場合に,お金を引き出していた用途が何であるかが一番の問題になってきます。大きな引出であればそれなりの用途があるはずです。用途として考えられるのは大きく言えば,亡くなられた方のために費用を賄うため・管理者やその他第3者のためにお金を使うからといったことが考えられます。特に,管理者や第3者のために使うのであれば,それが亡くなられた方の同意があったのかどうかも大きな問題となってきます。
 このうち,亡くなられた方の費用に使われたのであれば,管理をしていた方から,具体的な用途と領収書などが提出されないと裏づけは困難になると考えられます。こうした用途で使われたという事は,お金の動きがおかしいとい責められた場合に答えの一つとしてよく考えられるものの一つではありますが,裏づけがない場合には,その可能性が低く使途不明なものと扱われるリスクが出てきます。ちなみに,こうした回答は不正な用途や贈与ではないというための反論になります。

 反論が重要になってくるのは,理由のないお金は流用をしたか・勝手に無権限で自分の懐に入れた可能性が大きくなるため(これは損害賠償請求などの理由となります)です。

 

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