法律のいろは

子供の起こした事故等と親の賠償責任(その①)

2015年4月10日 更新 

 昨日,学校での放課後での学校で起きた事故(事件)について最高裁の判決が出ました。その意義がどこにあるのかは大きな問題ですが,関連する点を含めて紹介などをしたいと思います。

 問題となったケースは,事件当時12歳の子供が学校の放課後にサッカーの練習をしていた際に,蹴ったボールが校外に出て,自動二輪車を運転して通りかかった当時91歳だった方がよけようとして転倒したというものです。一番の問題は,親がどこまで監督責任を負うのかという責任を負う限界の程度の話ですが,まずこのような話が出てくる背景から触れたいと思います。

 以前も触れましたが,同様の問題は,子供が自転車等の事故を起こした場面(歩行者に怪我をさせた)でも生じるものですし,状況は大きく異なりますが,いわゆる少年事件での被害者の方への損害賠償の場面でも生じるところです。
 民法上,事件を起こした本人について損害賠償責任が問題になるのが原則ではあります。ただし,損害賠償責任を負うだけの判断能力等が十分でない場合に,監督者に監督する義務がある方にその義務が不十分であった場合に賠償責任を課していますので,事件を起こした子供にそうした能力が十分でない場合に,子供の監督義務を広汎に有している親にそうした義務を果たしていたかが問題となってきます。どこまでの年齢であればそうした能力があるかは一概には言えませんが[それぞれの子供の事情により変わりうるため),一応12~13才程度が一つの目安とはされています。今回問題となったケースでは,子供のそうした能力が十分でないことを前提に親の監督義務が尽くされたと言えるかが問題となっています。
 法律上は,親の側で監督義務を尽くしたという事を証明しなければならず,親の責任を加重したものと考えることもできます。

 親が子供を見ているケースでは,監督義務が広いというのはうなづけるところです。問題は第3者に預けている場合や学校での事故等が問題になった場合はどうかというものです。これまでの裁判例では,親は子供の養育監護義務を広く負っていることを根拠にこうした場合でも免責を容易に認めてきませんでした。もっとも,子供が出かけた先で玩具の矢で遊んでいて相手を怪我させた場合について,親の責任を否定した裁判例はあります。ただし,このケースでは,一度弓矢をもって出かけようとする子供に対して,出かけるにしても弓矢を使わないように約束させたため,子供が小学校2年生であったことも考慮して,弓矢を取り上げなくても親の監督責任は果たしていたと判断したものです。このケースからも相当の措置を取らないことには容易に免責されないことになろうかと思われます。

 次回に続きます。

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