法律のいろは

預金口座を持っている人が死亡したときの口座に関する扱い

2015年4月30日 更新 

 預金口座をもっている人が死亡したとき、その人の通帳を持ってお金を引き出そうとしたところ、既に口座が凍結されていた、という経験をお持ちの方はいらっしゃるのではないでしょうか?
 
 預金口座をもっている人がなくなると、死亡の時点で相続が開始して、その人がもっていた銀行に対する預金債権はそれと同時に法定相続分に応じて分割・相続されるとするのが最高裁判所の判例でしたが,こちらはのちに変更され,各口座の性質を考慮しての判断ではありますが,遺産分割が必要となったというのが現在の最高裁判所の判断となります(それとは別に法改正によって遺産分割協議が成立する前に価値裁判所の判断が介在するタイプ・介在しないタイプの預金払い戻しが一部出来る制度ができました)。

 

 銀行が何がしかにより預金口座を持つ人が亡くなったことを知れば、相続人以外の人が払い戻しをするのを防止(有効な払戻しではないということになると二重に支払う可能性が出てきます)して、遺産が散逸するのを防ぐ必要があります。また,銀行が預金者がなくなったことを何らかの理由で知っていたのに、入出金停止措置をとらないでいると、誰かが払い戻しをしたときに、届出印をもってきていた人への払い戻しであったとしても、銀行による払い戻しは無効と主張できる可能性があります。相続分を超えての払い戻しであっても同様です。

 銀行は相続人などから預金をしていた人が亡くなったという届出があれば、取引がその亡くなった人とあるかを確認して、すべての店舗でその人名義の口座の入出金停止の措置をとらなければなりません。その上で、いつ亡くなったか・相続人の範囲・遺言書があるかどうか、遺産分割協議をしているかどうかなど、相続手続きにあたって必要な事柄を届出人から聞き取ることになります。

 実際のところ、銀行が預金口座をもっていた人の死亡を知るのは難しく、著名人などで新聞やテレビ、インターネットなどで広く知れ渡っているときは入出金停止措置をとらずに不正な払い戻しをされるとその責任を問われることがありえますが、まれでしょう。

 通常は相続人かなくなった人に近しい誰かが銀行に届出することで初めて明らかになり、銀行も適正な措置を取っているものと思われます。以下は,相続に関する平成30年の法律改正(令和元年7月に施行)を踏まえた変更点についての話です。

 

 法改正により,仮分割の制度(遺産分割成立前に,各相続人が①法定相続分×1/3の範囲でかつ②各金融機関ごとに上限150万円まで)による払い戻しの制度ができました。この制度を使う場合には,法定相続分の確認を戸籍資料から金融機関は行うことになります。制度の範囲であれば金融機関から見れば有効な支払いとなります。ここでの払い戻しは遺産分割協議ですでに取得した扱いになります。後の協議では,既取得分を前提に話を進めることになります。払い戻したお金の使途についてチェックをされることはありません。

 これに対して,同じく法改正で要件が緩和された(認められやすくなったとされています)家庭裁判所が介在する手続き(遺産分割の調停あるいは審判前の保全処分)では,家庭裁判所が事前に払い戻す「必要性」の判断の中で,使途については確認をすることもありえます。この制度は,事前の払い戻しを行うことが特に「必要性」ありとされる必要がありますが,特に上限はありません。また,ここでの払い戻しを取得済みとして考慮することなく,最終的な解決が模索されていきます(先ほどの制度との違いは,払い戻し分は当然に遺産分割協議で取得済み扱いをされるのかどうか)。

 

 

 

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