法律のいろは

円満調停の意味と注意点(その②)

2015年5月13日 更新 

 前回は,夫婦関係調整調停のうちの円満調停と呼ばれるものについて,婚姻関係修復までの婚姻費用の支払いと相手方から離婚調停を起こされるなど実際に修復の見通しがどうなのかという事のジレンマ等について触れました。今回は,円満調停の意味と話が点く場合の事柄について触れたいと思います。

 前回も触れましたように,円満調停を申し立てたところ,相手方からの離婚の意思が強い場合には,離婚調停の申立てをされることもありうるところです。こうした場合,話し合いとしては双方からの申立てがあることを前提に,修復の見通しやそのための問題点の洗い出し等が話し合われることが大まかに言って想定されます。そうした話し合いの中で,やはり修復は現実的には難しいという考えを円満調停を申し立てた方が持つことも考えられますし,離婚を考えていた側が諸事情などから考えをかえることもありうるところです。

 どちらの場合が多いかはともかく,前者の場合には円満調停を申し立てた側にとっては当初の目的を達成できないことになるものの,前回触れたようなジレンマに対するある程度の解凍を得られることになるかもしれません。こうした点もやや逆説的ではありますが,円満調停申立ての一つの意味かもしれません。ただ,だからといって相手からの離婚調停の申立てが予測されるような場合に,円満調停を申し立てるかはよく考えた方がいいように思われます。

 これに対し,円満調停が話がつく,修復に向けて話し合いがついた場合はどういった取り決めをするのでしょうか?この場合には,双方修復に向けて努力することを取り決めることになります。そのための留意点を合意の中に含めることもできますが,あくまで努力する目標になり,強制まではできません。同様に,修復に向けて話し合いがついたからといって,直ちに同居を再開することになるとは限りませんし,同居を強制することまではできません。あくまでも,話し合いを付けた後の双方の同居の再開に向けた努力が重要なのであって,あくまで話し合いで決めた内容は出発点という事になります。この場合には,修復に向けた指針を取り決めることができた点が円満調停の一つの意味であろうと考えられます。

 このように,円満調停には限界などがありますが,一定の意味はあるかと思われます。

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