法律のいろは

不貞行為と子供の問題(その②)

2015年7月5日 更新 

 前回は,男性側から不倫・不貞をしたことを念頭に,離婚を求めた場合の話を子供さんがいるケースをもとに触れました。今回は,前回と同じく,妻側が普段の子供の世話の多くを担っていることを前提に,妻側が不倫・不貞をした場合に関して触れていきたいと思います。

 この場合に,離婚を求めるものとしては,不倫・不貞に怒った夫側から求める場合と妻側から求める場合の双方が考えられます。この両者での違いは,妻側がいわゆる有責配偶者(不倫・不貞という法律上も離婚原因となる事柄を引き起こした方)にあたるために,離婚請求を妻側からする場合には相当大きなハードルができるという点です。

 では,離婚が仮に出来そうな場合,親権はどうなるのでしょうか?不倫・不貞をしている側が親権を持った場合,その後不倫・不貞の相手方との再婚によって,子供に何かあったら大変ではないかという考えも起きるところかもしれません。しかし,あくまでも抽象的な可能性が親権に影響するかというと必ずしもそうとは言えません。以前に触れましたが,離婚の際の子供の親権を決める要素は,現状やこれまでの監護状況・子供がどちらに親和的か・面会交流の許容性等多くの要素が挙げられますが,あくまでも子供の今後の成長にとってどちらが望ましいと具体的な事実関係から言えるかという点です。
 ですから,抽象的な可能性で,親権を当然に不倫・不貞をしていない配偶者というわけにはいきません。もちろん,不倫・不貞に夢中になることによって,子供の面倒をよく見ることができないという状況が生じたと言えるのであれば,話は変わってきます。

 そうなると,先ほどのケースで前提としていた妻側が多くの子供の世話をしている場合では,ほぼ間違いなく妻側に親権が行くかというとそう簡単にいかないということもありえます。それは,先ほどのケースで妻側から離婚を求めるような場合です。今述べたように,あくまでも離婚そのものは構わないという前提で親権がどうなるかという話ですので,そもそも親権の問題と離婚の問題が複雑に絡み合うようなケースでは,同じように考えられない点が出てきます。もちろん,離婚をどうするかという話と子供の世話を誰がするかは別というところがあるかもしれませんが,子供が離婚においては難しい問題でもあり,簡単にはいかない点があるように思われます。

 次回に続きます。

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