法律のいろは

亡くなった方の遺産分割をせずに放っておくことに問題はあるのでしょうか?

2015年7月28日 更新 

 よく,父母のうちどちらかが亡くなったけれども,とりあえず両親とも亡くなるまで置いておこう・その他祖父の代の相続について遺産分割をせずにおいていた等の話があります。この場合に,何か不具合や不都合なことが出てくるのかというのが今回触れる問題です。

 まず,こうした事柄,特に家等の登記をそのままにしておくことで大きなペナルテイ等はあるのでしょうか?特に変更手続きは遺産分割の話し合いをしなかったからといっても,こうしたことはありません。そのために,特に大きな価値のある財産でもなければ,遺産分割の話し合いなどをせずにおいてあるケースがあるのでしょうけれども,将来に関しては次のような問題が出てくる可能性をはらんでいます。ちなみに,現在国で相続登記の義務化を進めるのかどうかが検討されています。最終的な議論の決着までは出ていませんが,義務化となることもありえます。相続税の課税が問題にならないと特にいいかという気になるところも問題の原因の一つかもしれません。

 これまでは相続登記や遺産分割協議がされないままであることから,相続に関わっている方は当初は,顔を知っている方ばかりなのに対して,そのまま年月が経過した場合には,相続人自身に相続が発生してしまうということがよく生じていました。相続人の相続人ともなると,昔のように親戚一同が近所に住んでいた場合と異なり,バラバラになっている可能性も出てきますし(ケースによっては,相続人の相続人となる方が海外にいることもありえます),普段からの関係が希薄であり,話がしにくいという事もありうるかもしれません。また,少子化が進んでいるとはいえ,必ずしも一人っ子とは限りませんので,相続人が大きく増えてしまう可能性が出てきます。話し合いをする場合に,その相手方は増えるほどに話をつける相手が増える・それぞれの方の考えが違うこともありうるため,話し合い解決をするのが煩雑になっていく可能性が出てきます。この場合にのちに遺産分割を進める必要のある課方あ出てきた場合や空き家となった何代にもわたり遺産分割などをせずに放っておいた物件に関する対応が必要になった際にそこに関わる(場合によっては何かしらの負担を負う可能性もある)というのが面倒な点といえるでしょう。数代にわたって放置されてきた場合には,その財産の処分や対応をめぐり意見の対立が出てくるために,その調整が難航する可能性もありえます。

 相続に関して関心のない方には,話し合いといわれても,ピンとこない方がいるかもしれませんし,普段付き合いのない方と話をする面倒さも出てくる可能性があります。もちろん,利害関係が複雑になる可能性も十分ありうるところです。

 このような点が,相続が起きた場合に放っておくことで将来発生するかもしれないリスクということができます。実際に,どこまで起きうるのかはケースバイケースですが,時々は振り返ることも必要かもしれません。

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