法律のいろは

貸している部屋の家賃が支払われない場合,どうすればいいのでしょうか(その③)?

2015年9月12日 更新 

 貸している部屋の家賃が支払われない場合の回収方法として,支払い督促の便利さと欠点について前回触れました。簡易裁判所の特殊な裁判手続きとして,少額訴訟という制度もあります。この制度も比較的早く判決をうるのには役立つ面もありますが,一年間の回数制限もありますし,異議が出されると通常の裁判の形になりますので,注意が必要です。

 貸している部屋の家賃の支払われない状況が続く・払ったり払わない状況が続いている場合はどうすればいいのか,について,今回は少し触れたいと思います。まず,家賃が支払われない状況が続く場合です。この場合は期間にもよりますが,数か月賃料の不払いが継続したうえで,支払いを求めても支払いがない場合には,信頼関係が壊れたと裁判でも判断される可能性が高くなるものと思われます。
 こうした場合には,そもそもそうした借主に貸すことへの抵抗もあって,未払い賃料の支払いとともに,貸した部屋からの退去を求めることも増えるのではないかと思われます。ただ,退去の裁判に勝訴しても,それに借主が応じない場合の手続きの問題・信頼関係が壊れたことでの契約解除には,支払いを求めた上での方がリスクが少ないと考えられることから,通常は一度家賃の支払いを求めた上という形をとることになるでしょう。
 支払いを求める際には,一定の日にちまでに支払わない場合には契約を解除するという話をすることが通常です。こうした借主への通知の方法に何か法律上の制限があるわけではありませんが,言った・言わないの話にならないように,証拠を残す必要があります。そうした方法の代表例として,内容証明郵便を送付する方法があります。

 それでもなお支払いがない場合には,貸している部屋の明け渡しを求めるとともに,支払われていない家賃をどう回収するのかが大きな問題となっていきます。まず,家賃については,こうした場合には借主本人の支払い能力に問題があることも十分考えられるところです。そのため,貸したさいに,敷金を差し入れてもらっていれば,そこから差し引くこと・保証人が要る場合には,保証人の方からの回収を考えるのが通常と思われます。敷金は,部屋を貸した際の状況に戻す(ただし,通常の経年劣化によるものは除く)等に充てるお金になる点には注意が必要です。また,保証人自身に支払い能力があるのかという問題もあります。

 次回に続きます。

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