法律のいろは

貸したお金が返ってこないのですが,どうすればいいのでしょうか(その④)?

2015年9月21日 更新 

 貸したお金が返済されないという話について,証拠として借用書を作っておいた方がいいという話・返済時期はいつ頃になるのか等の話を前回まで触れました。今回は,前回の後半で触れた,長く返済もされず・請求も市内でおいておいた場合のリスクの話の続きです。

 前回触れたように,個人間のお金の貸し借りの多くは10年で時効に必要な期間が過ぎていきます。いつから10年が過ぎたらなのかという点ですが,法律上,スタートするときは,権利を行使できる時点,つまり,請求できる時点とされています。返済時期が定まっていれば,それが「○月×日」のようにはっきりしているケースではその日からになります。また,前々回に触れた返済時期が定まっているけれどもはっきりしていない場合には,その時期が来たことを知った時点という法律の定めるところによります。

たとえば,「出世払い」の場合には,「出世」をした時点でそのことを知らないとは考えにくいので,この時点になります。

 これに対して,返済時期を定めなかった場合には,法律上返済に必要と一般的に言える期間をあけて請求し,その期間が経過した時点から支払うべき時期になります。そのため,この場合には,請求もなければ返済時期は来ませんので,この時点からがスタートと考えられなくもありません。しかし,一般にはそのようには考えられておりません。というのも,これではいつまでも不安定な状況が続くうえに,そもそも,貸した際にいつでも請求をすることができます。いつでも請求をできるのであれば,そこから返済に一般に必要とされる期間が過ぎ去ればいつでも返済期が訪れるためです。そのため,権利を行使できるのは貸付時からとも考えられる反面,返済に一般に必要とされる期間が経過するまでは支払い時期は来るはずもないということで違いがある程度出てきます。

 考え方は上であげた二つのものがあるのですが,裁判例上も統一をされきってはいません。そのため,この部分についてははっきりしないところはありますが,「相当期間」と呼ばれる返済に一般に必要とされる期間もはっきりしてはいない点には注意が必要なように思われます。

 こうした時効をリセットする制度として「中断」と呼ばれるものがあるのは以前触れました。内容証明郵便を送るなどの裁判ではない形での請求(催告)は二度行っても意味はなく,一度目の請求から6か月以内に裁判を起こす等の他の「中断」の方法を取らないと意味がなくなる点にも注意が必要なように思われます。

 次回に続きます。

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