法律のいろは

女性の再婚禁止期間についての最高裁の判断

2016年1月8日 更新 

 昨年の11月に最高裁判所が民法上の再婚禁止期間について6か月は憲法に反しており,100日が相当であるという判断を含む判決が出ました。今回はこの話について触れてみます。

 そもそも,離婚して同じ人と再婚する場合を除き,女性については再婚には6か月の時間が必要と法律上定められていました。この理由としては,離婚をした前の結婚と再婚で誰が父親かの法律上の推定が重なるのを防ぐなどの理由が挙げられていたところです。問題となったケースでは,平成20年に離婚をした方が6か月間待つことで臨んだ時期に結婚できなかったことの慰謝料請求(憲法に反した法律の定めを改正しなかった点が違法である)としたものです。

 争点は,6か月の時間を再婚までの間に必要という法律が憲法に反しているか・反しているものを改正しないことが違法といえるかという点です。今回は前者の話について触れておきます。

 最高裁の判断は,この話について高裁の判断を覆しています。憲法に反しているかは,法律の目的が合理的なものといえるか・目的が合理的として,その達成に合理的な規制といえるかという判断の基準で判断しています。

 このうち,法律の目的については先ほど触れた目的であると述べ,合理性を持つと判断しています。次に,達成手段として6か月の時間を必要とするのかという点については,平成20年の時点ではそこまでの時間を必要とするというのはおかしいと述べています。その理由として,離婚から300日以内に生まれた場合⇒前の結婚での子供 再婚から200日経過後に生まれた場合⇒再婚後の子供 と法律で推定される点を挙げています。つまり,100日空けておけば,推定は重ならないはずということです。

 そうなるとずっと反していたのではないかという気がするところですが,医療技術などの発達により,昔は6カ月必要だったかもしれないけれども,現在はそうではない等の事柄も述べています。そのため,こうしたいくつかの理由から平成20年時点では憲法に反するという判断に至っています。

 ただし,慰謝料の請求については,憲法に反している法律の定めを長期に渡って不当に放っていた訳ではないから,違法とは言えないとして,請求自体は認めていません。

 細かい部分は色々と出てくるところですが,今後は法律も改正されるところでしょうから,簡単な判断の枠組みを紹介しておきます。

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