法律のいろは

DVと面会交流に関する高い葛藤が存在するケースの裁判例

2016年2月6日 更新 

 子供との面会交流については,様々な事情を総合考慮して決めるべきで原則として面会を認めるというわけではないという考え方・原則として面会は認めるけれども,特別な事情が存在すれば制限がありうるという考え方が存在するといわれています。筆者の知る限りでは,裁判所は後者の考え方をとる傾向に最近はあるといわれています。

 そうした特別の事情にDVやそれに基づく葛藤が存在することが挙げられます。今回は,こうした事柄が問題になった面会交流に関する最近の裁判例を紹介したいと思います。

 このケースは,特徴的なところとして,家庭裁判所調査官の調査報告では面会に支障がない(ただし,本人らでの調整の難しさなどは言及)していたものを裁判官の判断で制限をするだけの事情があると判断していること・手紙のやり取りなど間接的な面会交流はその後の直接会う形での面会交流につながる必要があると述べている点などが挙げられます。

 問題となったケースは,父親側から母親にDVがあったとして,母親が子供たちを連れてい家を出た後に,父親側から面会交流等の申立てがされたというものです。実際には母親側からもDV防止法にある保護命令の申立などなされていますが,複雑なので,今回関係する点のみを取り上げます。

 夫婦間などの葛藤が窺われるケースで,裁判所の判断も第1審・第2審でなされています。結論としては,いずれも間接的な面会交流を母親側に命じていますが,第2審では先ほど述べた直接的な面会につながるよう間接的な面会の方法が増やされるなどしています。このケースでは,母親及び子供に関して複数の精神科医による診断書が提出されており,裁判所の判断はこうした診断書に記載された子供の状況等も考慮している模様です。

 一般に,家庭裁判所調査官の調査報告は,審判に至った場合の裁判官の判断に大きな影響を与えるような印象がありますが,このケースでは必ずしもそうした判断にとらわれていない点は大きな意味があると思われます。また,原則は面会は認められるべきで,特別な事情があるかという判断枠組みが用いられています。

 実際の面会交流の実施には,親同士の葛藤が来わえて大きい場合には,大きな困難が伴います。第3者機関が支援をすることで解決できる場合もありますが,全てのケースですぐにはうまくいかない点もありうるところです。こうした機関その他の専門家への相談等で助力を得ることが必要だと思われます。

メールフォームもしくはお電話で、お問い合わせ・相談日時の予約をお願いします

早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。