法律のいろは

婚姻費用の支払いと扶養する親族への生活援助の関係

2016年3月6日 更新 

 高齢化が進む中で,高齢になり退職した親の生活援助をしている方も多いのではないでしょうか?こうした中で配偶者と別居した場合には,婚姻費用の支払いを求められるケースもありうるところです。今回は,特に高齢の親の生活援助をしていることが婚姻費用の支払い(支払う側)にとって,どのように考えられるのかという点について触れていきます。

 の問題点については,高裁の判断ですが,古い裁判例が存在します。結論から言えば,原則として妻子の生活費の負担である婚姻費用の支払いが優先するという内容になります。

 問題となった裁判例の詳細は不明ですが,親の生活費を考慮して婚姻費用の金額を考慮した点等に対して不服が申し立てられたケースのようです。争点として,親の生活援助をしていることを婚姻費用の金額を決めるうえでどのように考慮するのかが問題となりました。

 裁判所の判断では,婚姻費用の負担を求める法律の定めが,まずは配偶者と子供に自分と同じだけの生活を保障しないといけないのだから,それよりも扶養義務の程度の劣る親への扶養に優先するのが原則であると述べています。ただし,夫婦が別居する前から,親と同居していた場合等の夫婦と同じだけの生活を保障するとの同様の状況になっていた場合には,例外にあたると判断しています。

 結論として,第1審の判断を変更し,親の生活費を考慮するのはおかしいという判断(例外にあたる事情はない)をしています。

 となると,長く婚姻費用を負担する側がその親を含めて配偶者と同居をしており,同一世帯といえるだけの事情が存在したのであれば,話は変わってくる可能性もありえます。もちろん,この裁判例の考え方で固まっているわけではありませんが,一方の配偶者の親と同居をしておられるご家庭もあろうかと思われます。

 例外にあたる事情ですので,この裁判例の考え方に従った場合には,婚姻費用の支払いを求められた側が,自らの親についても先ほど述べた例外にあたるだけの事情があるという言い分や証拠を出す必要があると思われます。

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