法律のいろは

離婚裁判で,離婚の請求が認められなかった場合は,どうなるのでしょうか?

2016年3月8日 更新 

 離婚協議や離婚裁判で,離婚するかどうかが条件面の折り合いを含め対立した場合,離婚裁判での決着を図ることになりえます。離婚裁判の中でも,離婚するかどうかの対立が極めて大きな場合を除き,話し合い決着による和解離婚が可能かどうかの調整を図られるケースは多いように思われます。それでも折り合いがつかない場合には,判決へと向かいます。

 離婚するかどうかが離婚裁判での争点であった場合には,離婚を求めた側の請求が認められない(棄却)されることがあります。これは,言い分と証拠から,法律の定める離婚原因が認められない場合です。こうなった後どうなるのかを今回触れてみたいと思います。

 まず,離婚の請求が認められていませんから,婚姻関係は破綻していないか(有責性ゆえに信義に反するか)は別として,結婚に基づく義務,主には婚姻費用の支払い義務を負うことになります。同居の義務も負っているのが原則ですが,裁判例上,離婚原因までは認めなくても,同居していないことに正当な理由があると判断しているものがあります。

 不貞行為についての慰謝料請求については,婚姻関係が破綻したと言える事情があるかどうかによって変わってきます。

 婚姻関係が破綻していないという判断がすぐに夫婦円満につながるかといえば,そうは簡単には言えない難しい点があります。あくまでも破綻まではしていないというだけで,先ほど述べたように同居しないことが正当化される場合もありえます。同居を実際にできる状況かどうかはケースバイケースですが,一方が反対することで困難になることがありえます。

 その後の状況に嫌気がさし,改めて離婚に協議で至る場合もありえますし,円満化もあるかもしれません。これに対し,別居したまま離婚するかどうかの話し合いがつかない場合には,再度の離婚裁判というのも考えられる道筋の一つです。

 ただし,離婚裁判の判決には一定の拘束力があります。離婚裁判の際のある時点では離婚原因がない等との判断が後の離婚裁判でも裁判所の判断等を拘束します。そのため,離婚原因がある等と離婚を求める側がいう場合には,離婚裁判の基準となる時点よりも後で,離婚理由が出てきたことを示す必要はあります。

 多くは更なる別居になるように思われます。婚姻費用の支払い義務を負い続けるという点が一番重い点かもしれませんが,離婚判決には一つの大きな影響があります。

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