法律のいろは

婚姻費用の算定に当たり,借金の返済は常に・全く考慮されないのでしょうか?

2016年4月27日 更新 

 婚姻費用の算定に当たり,いわゆる算定表や算定式が大きな根拠を与えているという話は既に何度かしました。また,住宅ローンの返済も基本的には考慮されないこと,その他の借金返済も基本的は考慮されないという話も既に何度かしてきたところです。今回は,借入の原因を考慮しても常に婚姻費用の金額を定めるうえで考慮されないのかという点について触れていきます。

 

 結論から言えば,考慮されるケースもありえます。多くは婚姻費用を支払う側が借金の返済をしていて支払えないから,婚姻費用の金額を定める際に考慮してほしいというケースではないかと思われます。今回はこうしたケースを念頭に話を進めます。

 

 借金の原因は様々ありえます。教育ローンの借り入れを行い,その支払いをしている・事業のための借金・住宅ローン・遊び等のお金でできた借金・買い物のしすぎのため,等原因は人によって様々であると思われます。このうち,資産を形成するためのものや単なる浪費による負債の支払いが考慮されないのは言うまでもありません。

 

 これに対して,生活費を賄うための借入や今後の教育費に充てるための借入の場合には,生活や子供のためといった婚姻生活を維持するためのお金を先取りし,損返済をすることで婚姻生活を現在維持するために必要な支出と評価できる場合があります。こうしたお金を常に婚姻費用の額決定にあたり考慮をしないのが,支払う側にとって大きな負担となるケースもありえます。この場合には,婚姻費用の金額を決定するにあたり,こうした支払金額を考慮して,婚姻費用の金額を減額する場合も出てきます。

 

 注意点としては,必ず考慮されるわけではないものの,絶対に考慮されないわけではないという点です。どういった場合が,婚姻費用を支払う側にとって考慮しないことが酷と評価できるかはケースごとの事情によって異なるところです。

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