法律のいろは

財産分与の対象となる財産を処分されそうなのですが,対応方法はあるでしょうか?

2016年6月19日 更新 

 財産分与は,離婚をする際あるいは離婚後2年以内に行えばいいものですが,その対象となる財産を勝手に配偶者に処分されそうなことはあるかもしれません。たとえば,夫名義の家があって,結婚中に買ったものだけれども,財産分与をはじめとしたあ離婚の話がつく前に,一方的に売ろうとしている場合などです。

 

 もっとも,こうした場合に,たとえば,まだ妻が居住しているのに売却をしようとすることは,法律的な問題を置くとしても,通常非現実的です。また,夫婦共有財産であれば,先ほどの例では妻にも権利がありますので,処分する(売却する)こと自体に問題が存在します。不動産の仲介業者が介在している場合には,多くのケースでは,夫婦双方の同意が得られているのだろうかを確認するのではないかと思われます。

 

 そうしたことがあっても,勝手に売却するなどの動きがある場合には,放ってはいられないこともあり得ます。こうした場合の対応方法としては,処分禁止の仮処分をするという民事保全手続きのやり方が存在します。財産分与に関する民事保全手続きには,ほかに財産分与でお金をもらえる可能性が十分あるのであれば,仮差押えという方法をとるケースもあり得ますが,費用面の問題などもあり,こうした方法をとるのかどうかはよく検討した方がいいでしょう。

 

 処分禁止の仮処分がなされると,勝手に売却をしても,その実質的な意味はなくなります(売却の効果が失われるわけではありませんが,そのことを相手方配偶者に主張できなくなります)。そのため,財産分与等の離婚の話し合いがつく前に,夫婦共有財産を処分しようとすることは,こうした対抗手段を招きかねませんし,話し合いが進まなくなるリスクも生じかねさせません。

 

 ちなみに,こうした手段をとる際には,保全の必要性といって,わざわざこうした手続きまで取る必要性を示す必要があります。話し合いがつく前に財産が処分されそうな可能性が高いという事情が当てはまるでしょう。

 

 いずれにしても,離婚の話し合いはきっちりと行っておくことが重要と思われます。また,男性側も多くは財産分与の請求を受ける立場と思われますが,きっちりとした反論などを行い,しっかりと話をつけておいた方がいいでしょう。その際には,分与の割合や対象財産など言い分があれば,専門家に相談するのも一つの方法です。

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