法律のいろは

寄与分や特別寄与料はどのような場合に,認められる可能性があるのでしょうか?

2017年1月16日 更新 

 遺産分割の際に相続人について調整要素となりうる「寄与分」と遺産分割とは別の制度として,被相続人の親族ではあるものの相続人ではない方の貢献を調整させる「特別寄与分」の制度については,別んコラムで制度の該当を触れています。「寄与分」「特別寄与分」ともに「特別な貢献」を法律上は要求していますが,前者は扶養義務を超えたもの・後者については一定程度のもの(対価をもらった部分は除く)とされていますが,具体例は不明です。「寄与分」については遺産分割協議でこれまでなかなか認めらえない傾向にあったように思われますが,問題となりうるケースについて触れていきます。

 

 「寄与分」については,家業のために労力を提供してきた(労務提供型)・老朽化した自宅の改修費として多くのお金を変わって支出した(財産出資型)・認知症の進んだ親を自宅に引き取って身の回りの世話や介護を行った(療養看護型)・老親を引き取って生活の世話をした(扶養型)・老親のお金を管理した(財産管理型)が貢献として想定されるものです。

 特に問題となるのは療養看護や扶養の場合(財産管理の場合には特にお金の管理をきちんと行あないと使途不明金として使い込みの問題が出てくる可能性があります)で,特別な貢献といえるのかが問題となります。よく,療養看護や扶養はうちも下したのだから特別ではないという反論をしたくなるところではありますが,特別な貢献といえるかどうかは他の相続人との比較ではなく,寄与分の主張をしている方自体の療養看護や扶養などが特別なものといえるかがどうかが問題となります。そして,相続人といえる親族関係では扶養義務を当然に負うことも多いことやその扶養義務の範囲内で,扶養や療養看護を相当程度行うことが想定されているため,特別な貢献とは言いにくいとされる傾向があります。具体的にどこまでの世話であれば,扶養義務の範囲内なのかは難しいところですが,筆者の知る限りでは広く取られているように思われます。

 また,っそれなりのケースでは,その老親(被相続人)からお金を得ている(小遣い名目等)もあって,特別な貢献からは売れる可能性も十分ありえます。遺産分割協議などで寄与分の主張をする際には,こうした可能性も考慮をする必要があるでしょう。零細企業での事業への貢献は完全に被相続人と会社が一体ではないと被相続人への貢献といえるのか・それによって被相続人に利益を与えたといえるのかも問題になるでしょう。

 

 これに対して,「特別寄与料」の請求は,あくまでも遺産分割協議とは別の制度なので,遺産分割協議の進展とは別に請求を相続人に行うことができます。「特別寄与料で問題となる貢献について,法律上は先ほどの療養看護や扶養・労務提供が挙げられていて,財産出資型は除かれています。この制度を使って請求できるお金の上限は,遺産から遺贈をなされた金額を引いた金額になりますので,全て遺贈をされている場合には使うのはできなくなります。期間制限の問題もありますが,実際にどこまでの貢献があればどの程度認められるのかという問題とともに,そもそも生前の相続対策がなされている場合には,活用ができる可能性は亡くなることもありえます。

 また,相続放棄をしたために相続人ではないけれども親族である方がこの制度を活用できるのかという問題もあります。結論から言えば,活用できないとされています。相続人に本来なれた方をこの制度で救済する必要性が乏しいためと考えられます。相続欠格になった方なども同様です。

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