2017年5月2日 更新
主には別居のころ又はその後に,妻側が夫婦の財布である預金口座からお金を引き出して使っているケースは見受けられるところです。もちろん,夫側が預金口座の管理をしていて,様々な事柄に使ってしまうということもありえます。こうしたお金が離婚の際に考慮されるのか・考慮されるとして現実に支払ってもらえるのかという点について触れていきます。
結論から言えば,考慮されることは大いにありえます。ただし,現実に支払ってもらえるのかどうかは難しいこともありえます。まず,考慮されるかどうかという点についてです。妻が専業主婦で相当程度大きなお金を引き出していた場合に,実質は財産分与の先渡しであるという言い分を出すことになります。これに対し,実際は自分が引き出したものではない・生活費名目である等の反論が寄せられることが考えられます。実際にそうした反論が通るのかどうかは,金額や生活状況等様々な事情によって変わってきます。
そうした言い分が通らない場合においては財産分与の先渡しとして考慮されることになりますが,そのようになるかどうかは一つの関門になるでしょう。
次に,財産分与の先渡しになったとしても,夫婦財産の清算から見て過大だと言えなければ,取り戻すことはできません。あくまでも,先渡しした分さらに渡す部分が減るのかどうかという話になるためです。もちろん,この例では妻側の財産も結婚後に夫婦で築いたものと言えれば財産分与の対象となりますが,開示を受けられるのかどうかには問題が出てくることもありえます。
引き出したお金をどこかに移しているのであれば,その開示を求めていくことになります。
次に夫側が使い果たした場合には,財産分与すべきものが分与されていなければ,使ったものを含めて支払う義務が出てきます。どこかしらに隠し財産があれば先ほどと同様に開示を求めていくことになります。ここでも同様に財産分与は夫婦お互いについて言えるものですから,妻側の財産がどうかも問題にはなるところです。
今までの話は,引き出した・使ってしまったお金の考慮がなされるのかどうかという問題です。現実に支払ってもらえるのかは別の問題となります。あくまでも相手方に財産あるいは収入があって,こうしたお金の支払いを行えることが前提となります。調停や裁判手続きを通して,支払い義務を定めた書類をもらった場合には,差し押さえ手続き(財産や給与収入などに対して行います)による強制回収を行うこともできます。ただし,差し押さえるものがない場合には,こうした回収手段も意味を失いかねません。
こうした点を考慮したうえで,相手方への対応を考えていくことになるでしょう。
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