法律のいろは

車を人に貸した際に,人身事故を起こされる多場合にどんなリスクがあるのでしょうか?(ちなみに,自転車事故では?)

2017年5月3日 更新 

 人に車を貸していた際に,貸していた相手が人身事故を起こした場合に,損害賠償請求を後でされたという話を聞かれたことはないでしょうか?自転車の場合と比べて違う点があるのかを含めて,今回は触れてみたいと思います。

 

 結論から言えば,車を人に貸した場合に怖いリスクの一つがこうした人身事故を起こされた場合の損害賠償請求を受けるリスク(支払い義務を負うリスク)です。これは,自賠法という法律にある定めによって生じるものです。

 自賠法は,自動車で生じた交通事故(人身事故に限ります)による被害救済のために,被害者側の立証の負担を軽減するとともに,損害賠償が認められる相手方が定められています。そこでの損害賠償請求が認められる相手方としては,当然交通事故を起こした方(このケースでは,車を借りて運転している方)のほかに,自動車を貸した方も含まれます。これは,法律上,「運行供用者」と言って,運転による利益を受けた方・運転を支配した方(いずれも法律上その通り評価できる方)が責任を負う対象に含まれるためです。そこでは,運転について実際に指示をしていなくても(貸している場合には特に支持をしていないケースが多いでしょう),指示を行えたと評価できる場合(貸した場合の大半はこちらに含まれます)ために,車を貸した方の大半は責任を負う対象に含まれてしまいます。

 こうした点はこれまでの裁判例でも表れています。借りた方にどうしても運転について指示をできないという事情が存在しない場合以外は広く自賠法という法律で人身事故の損害賠償責任を負うと判断したケースもあるために,責任を負う可能性は相当広くなります。ちなみに,人身事故という話をしましたが,物損事故についてはこうした法律の定めはありませんので,貸した方が責任を負うリスクは亡くなります。

 とは言えば,交通事故が起きるかどうかもわかりませんし,起きた交通事故が物損事故か人身事故かは起きるまでは分かりませんから,こうしたリスクも考えて行動をした方がいいでしょう。

 

 これに対して,自転車の場合(バイクは先ほどの自賠法の適用対象になります)には,自賠法の摘要はありません。このことは,貸した自転車で歩行者と交通事故が起きても,貸した方に当然に損害賠償責任が生じるわけではないことを示しています。この意味で,被害者救済は自転車事故の場合は自動車による事故と比べて弱い点がありますが,自転車の場合に全くリスクがないわけではない点にも注意はした方がいいでしょう。

 特に,自転車による交通事故は大きな損害賠償の問題が生じていますのでなおさらと考えられます。

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