法律のいろは

高低差のある隣接土地からの水などの流入について対応はとれないのでしょうか?

2019年3月4日 更新 

 

 大雨の際の水その他排水などがご自身の家の敷地に流れ込んだ場合,流される可能性もあれば,汚れてしまう可能性もあります。地形的な要因もあれば,盛り土をする・建物を建てるなど隣の土地等を改造したために起きる場合もあります。こうした場合に,隣の家・土地の所有者に何か対応できるのでしょうか?今回触れる規制は令和に入ってからの隣地の利用の調整のための規定などの改正によっても基本的には変わってはいません。

 

〇自然の流水には受け入れる義務があります
 隣地から水が流入する場合に,隣地がご自身の土地よりも高いところに存在して,そこから水が流れてくる場合があります。あくまでもこうした自然の地形のままでの水が流入する場合には法律上一定の定めがあります。それは,低いところに位置する土地は高いところに存在する土地から自然に流れてくる水の流れを「受忍」する義務があるというものです。簡単に言えば,自然流水の変更を求めることや賠償請求はできません。ここでいう自然に流れてくる水とは地下水や地面に降った雨水の流れなどです。具体的には,家の隣にある手を加えていない山の沢から雨水が流れ込んでくる場合等が考えられるでしょう。ただし,土砂までも流入した場合には撤去を求めることはできます。また,水をためる・排水のための設備に破損などが生じた場合に土地の利用ができなくなったなどの場合には予防措置や対応措置を求めることはできます。

 ご自身で撤去を先にしてしまうと費用負担の問題が残りますが,水の問題との関係でどこまでの負担を求められるのかという問題が出てくる可能性もあります。土砂とその他で負担関係がどうなるのかという点がはっきりしないこともありえます。また,あくまでも「自然な」な場合の話ですから,人工的に流れを変えることが原因となる場合には当てはまりません。

 当然それでは困るということで水の流れを変えるような工事をしたくなるところかと思われます。この場合もここと同じ義務によって,工事によって高いところに位置する隣地の利用を妨げる水の流れを変えることがあった場合には,逆に工事をした結果である水路などの撤去や損害賠償に応じないといけなくなる可能性があります。こうした点に注意をして対応していく必要が出てきます。

 これに対して,隣地と高低差がない場合にはこうした規制は存在しませんので,流水の変更を求めることなどはできるのが基本です。

 

〇人工的な流水については?
 隣地から水が流入してくるのは先ほど述べた形だけとは限りません。自然の地形ではなく,手を加えて池を隣地で作ったものの諸般の事情から水が漏れている場合・盛り土をすることで水が流入するようになった場合,隣地に建物を建てて雨水の通り道を作ることで急に水が流れ込むようになった場合等もありえます。

 こうした水の流れは自然のままの地形の高低差によって起きるものではありません。そして,このようなケースでは先ほどの自然流水の場合とは異なり,原則として流水の原因をなくすことや流水による損害賠償を求めることができます。そもそも,法律上も屋根等からの水の流入に関して,隣の土地に直接雨水が注ぎ込むような屋根等を作ってはいけないと定めていますから,こうした場合には当然に是正を求めることができます。もちろん,水だけでなく土砂の流入もあった場合はいずれの撤去を求めることができます。

 ただし,こうした人工的な原因での水の流れであっても,排水をさせるにあたって河川や下水道までに隣地をどうしても通る必要がある場合には,排水路を設けることができる(ご自身の土地に排水路を設けることを拒めない)ことになります。もっとも,こうした場合には,損害が一番小さなルールのみが拒めないだけで,排水路を設ける費用を負担する必要はない(排水路を設ける側が負担をする)ことになります。

 

 

 こう言った点に限らず,隣地との間の流水等に関する関係は法律上様々定めがあります。問題となる話が出てくる中で,どうすればいいのかはご自身で調べる・専門家に聞いてみるという対応があるかもしれません。

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