法律のいろは

離婚後の生活について(養育費その⑧~養育費算定表・自営業者の場合~)

2013年5月2日 更新 

 養育費算定方式の大まかなお話しをしましたが、養育費を支払う親が給与所得である場合を前提にしていました。

 今日は、養育費を支払う親が(あるいは支払を受ける親についても)、自営業者である場合、どう計算するかについてお話ししたいと思います。

自営業者の場合、確定申告書の「課税される所得金額」が養育費を計算するにあたっての総収入と考えます。課税標準を計算するときの収入金額(売上金額)が総収入とみるわけではないので、注意が必要です。

 ただ、「課税される所得金額」が税法上色々考慮され、控除の結果でてきた金額ですので、調整が必要なことがあります。

 税法上、控除されているけれども、実際には支出していないものは、控除せず、「課税される所得金額」に加算しなければなりません。

 例えば、専従者給与が計上されているものの、現実に支払がされていない場合には、控除すべきではない、ということになります。

 また、医療費控除・生命保険料控除は、算定表では前にもお話ししましたとおり、標準的な医療費や保険掛金は特別経費として考慮されています。なので、さらに控除すべきではないといえます。

 ちなみに、自営業者の方の基礎収入は、

総収入×0.47~0.52として算出します。

 なお、収入の中に給与所得と事業所得が混じっている場合があります。たとえば、会社勤めをしているが、アパートを所有していて、家賃収入がある、といったケースです。

 この場合は、いくつかやり方がありますが、一つは収入を給与所得か事業所得いずれかにそろえるやり方があります。たとえば、事業所得にそろえるのであれば、給与所得額に対応する自営業者の収入額を事業所得額に足して、自営業者としての収入とみて算定表に当てはめることになります。

 具体的な数字でいくと、例えば給与所得が500万円、事業所得が500万円のとき、算定表をみると給与所得500万円に対応する事業所得は363万円です。これともともとの事業所得500万円を足した、863万円が事業所得として、算定表に当てはめることになります。事業所得でなく、給与所得に合わせて算定しても構いません。

 このように、自営業者の方の場合、「課税される所得金額」をそのまま総収入とすることができず、調整が必要なことがあり、若干ややこしいです。場合によってはシビアに争いになることもあります。

 こんな場合は、控除されている費目がどのようになっているか、資料の裏付けを求めたり、収入の状況を確認するなどして、慎重に養育費の額を定める必要があります。ちなみに,まだ触れることがあるので,続きます。

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