法律のいろは

親権と離婚(その③)親権とは?

2013年5月3日 更新 

 親権に関わる問題として,別居中の話について前回触れました。

 時々,現在子どもを監護養育していない方の親が連れて行ったことで刑事事件になったというニュース記事が出ています。気のせいでなければ,昨日にも見た記憶があります。別居していても共同親権なのに,なぜこうしたことが起きるのでしょうか?

 裁判例では,最高裁で判断されたものとして

 ①未成年のお子さんを外国人である夫が幼稚園から連れて行ったことが,国外へ連れ出す目的の誘拐にあたる

 ②離婚調停中で別居している夫婦で,妻が監護養育している子どもを連れ去ったことが,未成年者の誘拐にあたる

 という判断が出たものがあります。

 いずれも,刑事事件の裁判で,結論として有罪=犯罪であるという判断になります。

 争われたから最高裁まで言ったわけですけど,一番の問題は

(1)犯罪にあたるかどうか

(2)犯罪にあたったとしても正当な行為だから違法とは言えないかどうか

 という点です。

 こうした問題については,(1)に関して,たとえ共同親権中の親でも,子どもが今いる環境から離して,自分のところに連れて行くのは誘拐という犯罪にあたると判断しています。

 (2)については,犯罪にあたっても正当化できる場合にあたるかどうかという点から判断しています。

 どういった場合に正当化されるのかははっきりしないのですが,裁判例からは

 (あ)連れ去りの様子や手段

 (い)連れて行った後の監護養育環境についての確たる見通しがあったのかどうか

 (う)(い)と関係しますけど,子どもの年齢からみて必要な養育監護の環境

 等が重要視されるようです。問題は2つあるように思えます。一つ目は(あ)~(う)以外の要素も十分考慮されることです。二つ目は判決のなかで,子どもを巡る争いが本人同士の話し合いでは解決できない場合には,家庭裁判所での手続きに則って解決すべきで,勝手な連れ去りはするべきではないとの話が出ている点です。

 これによると,裁判所の解決が出るまでは現状は可能な限り勝手には変更しないように,という考えが出てくるようにも解釈できるところです。

 こうしたことも考えたうえで,冷静な考えを持たないといけないというところが難しいところです。ちなみに,連れて行くことが犯罪にあたるというのは,誘拐とは今いる慣れた環境から引き離して自分のもとに置くことと考えられているからだと思われます。

 子の引渡しについての重要なポイントが何かは次回触れます。前回も次回と触れましたけど,次回には必ず触れます。。。

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