離婚と親権に関係する子どもの引渡しについて,裁判所が重視する点を前回触れました。途中まででしたので,続きとなります。離婚の際の親権につながる養育監護者を誰とするかという重要な問題につながってくるところであるという印象があります。
裁判例をみると,重視していると思われる点は次の点です。
①監護の継続性 現在の養育監護状態やこれまでの監護養育実績のことです
②子どもを手元に置いたやり方に違法な点はなかったか
③監護能力
④子どもの意思
⑤母性の優先
このうち,①が重視されるけれども,②の要素があった場合には重視されないと判断されたケースがあることは前回触れました。
次に,③は子どもを監護養育する能力というものです。経済的な面もありますが,周りの協力によって監護養育ができるのかという点もあります。別居状態だと,働いている時間に子どもの監護養育を誰がするのか等問題はあります。
③については,父と母でどちらが優れているのかという面もありますが,個人的な印象として,現在までの養育監護実績に問題がない場合まで,この要素がそこまで重視はされないような気がします。もちろん,子どもを現在まで養育監護しているけれども,極めて問題のある環境である等の事情があれば,大きく考慮されると思われます。
ちなみに,③とはやや異なりますが,子どもを養育監護していない親に会わせる(面会交流)ことを許容するかどうかは,重要な要素と考えられています。子どもにとって,別居していても親は親ですので,会って交流を持つことは重要です。そのことを否定すると取られる言動が,子どもの養育監護をするうえでマイナス要素になるのはいえるでしょう。
④については,子ども側の事情です。子どもが小さいうちには重視されません。子どもが15歳を超えている場合には,必ず意向を確認します。子どもの年齢が高いほど重視される傾向にあります。
とはいっても,子どもは現在養育監護する親におもねる傾向にあるようには思われます。
ちなみに,兄弟がいる場合には,兄弟はできるだけ同じ親のもとで養育監護された方がいいとの考えが取られています。
最後に⑤ですが,これは乳幼児について,母性が重視されるのではないかということです。以前はこうした判断をしている裁判例はありました。しかし,最近についてはこういう考えには批判が多いところです。そこまで,この点を重視していないのではないかという印象はあります。ただし,乳幼児の場合は,別居の際に母親が子供を連れて家を出ている場合が多いので,実際のところ①の問題ということになるでしょう。
結論として,これまでの監護実績や現状が重視される傾向には基本的にあるようです。こうした点への調査や考慮をもとに,裁判所での話し合いは判断は進められていきます。
早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。
© KEISO Law Firm. All Rights Reserved.