法律のいろは

子ども(相続人)の一部が親のお金を勝手に私的に使っている場合に,相続に関する対応方法はあるのでしょうか?

2021年5月7日 更新 

 親の面倒を見るにあたって,親の財産の管理を事実上行う・財産管理や任意後見契約を締結して行う場合など子供の一部が親の財産を管理するケースはありえます。大半でトラブルは起きないものと思われますが,管理を行っている方が使途を記録していない・特に自らのためのお金を使ってしまった場合には,使い込み・使途不明金の問題として,後でトラブルになるケースはありえます。

 このうち,使い込みの問題における追及ができるのか・どういった場合が問題になるのかは別のコラムで触れました。今回は,相続人である子供の一部がそうした行為を行った場合に,生前親はどのような対応をできるのかについて触れていきます。使い込みの問題がトラブルに貼るのは親の生前もありますが,死後であることが多いように思われます。

 

 親の側からそうした子供について相続人から除外したいという制度として,「相続排除」の制度があります。この制度自体も別のコラムで触れていますが,簡単に言えば,昔の廃嫡の制度に由来する相続人が親等(被相続人)の信頼を大きく裏切る事情があった場合に,財産相続ができないようにする制度です。親等の被相続人の意思が必要ですが,法律で定めるだけの事情があるのかなどを家庭裁判所が判断し排除するのかを決める形となっています。

 一種のペナルテイといえる制度ですが,一度排除された方(遺留分を持つ方に限られます)からそのペナルティをなくすための申し立てを親等の被相続人は行うことができます。

 

 どういう場合に,ペナルテイを受けるかといえば,親等の被相続人への暴力などの行為が存在する場合や,親の財産を勝手に浪費することや素行不良などが存在する場合です。このうち,浪費や素行不良については「著しい」ものに法律上限定されています。素行不良自体様々な態様と程度のものが考えられます。親の財産を勝手に浪費をするといっても,その金額や態様・頻度などによって異なってきます。もちろん,金額が大きい,財産管理を任せられておきながら悪用し報告も事実に反した浪費を継続してきたという場合には,ペナルテイを受けるだけの事情と家庭裁判所から評価を受ける可能性が高くなります。

 

 親等の被相続人の生前における家庭裁判所への申し立てや遺言による方法も可能ですが,いずれにしても家庭裁判所の判断が必要になります。家庭裁判所での判断では,「被相続人への侮辱や虐待」「著しい素行不良」等に該当する行為があったのか・その内容がどういったものかという点以外に,被相続人が許す言動をとっていたのか・排除を求められている方自身に改心が認められるだけの事情が存在したのかなども踏まえて判断をすることになります。つまり,ここでの判断では法律で定めた事柄にあたるのかどうかという他の要素も考慮してのものになります。

 遺言による場合には,排除を求めるものかが曖昧な場合,例えば,「〇〇には相続をさせない」「〇〇に相続させる財産はゼロである」等の記載については,その意味がどういったものかを吟味して行うことになります。単にある方にすべてを遺贈する(包括遺贈する)・相続分をゼロにしたいということもありえるので,どういった意味なのかは問題となります。

 仮に,排除の申し立てをするかどうかを考える場合には,問題となっている相続人になりうる方の行ってきた行為の内容や程度などの他に,何かしら改心をしているその他考慮される要素があるのかどうかを考えておく必要があるでしょう。

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