法律のいろは

相続人に相続をさせるという遺言での注意点とは?

2024年9月1日 更新 

 相続に関する民法の改正が平成30年いなされ既に数年が経過しています。既に改正内容は施行されて時間が経過していますが,「相続させる」という遺言については,改正の前後で扱いが異なるとされている部分があり,気を付ける部分があります。

 

 改正前は,「相続させる」(例えば,二人子供がいる場合にうち一人のAさんにすべての不動産を渦る場合に「Aにすべての私名義の不動産を相続させる」)という内容は,遺言の効力が生じた時点でAさんに不動産の権利が当然に移転すると理解されていました。そのため,特に登記がなくとも,その遺言の存在と有効であることが言えれば,当然に権利が主張できるとされていました。例えば,他の子どもであるBさんにお金を貸している方が不動産を売ってお金を回収しようとして,相続の登記を行って法定相続分を差し押さえる等すると,Aさんは先ほどの理解がされないと,法定相続分(Bさんの部分)を勝手に売るなどできず大きな権利制限を受けることになります。

 登記とは,権利関係がどうなっているのかを公にする制度で,両立しない場合には原則として早い者勝ちと理解されています。そのため,Aさんの権利を先ほどのものとして理解しないと,Aさんの権利はBさんの法定相続分については負けてしまうことになります。当然にAさんのものであれば,早い者勝ちではなくなります。改正によって,Aさんの法定相続分以上の部分で「相続させる」こととなった部分は結局先に登記をする必要があることになりました。要は,結局は早い者勝ちになりかねない部分gな出てきたという意味です。

 

  「相続させる」問ういう項目の遺言(法令上,「特定財産承継遺言」と呼ばれます)は,遺言をする方が一方的に行うので,受け取る側は実は不要だという場合もありえます。この場合に,受け取りを拒むことができるのかという問題が出てきます。不動産を「遺贈する」という場合には,もらうとされた側(先に例ではAさん)は放棄をすることができます。包括遺贈と呼ばれる遺贈についても(相続人と同一の扱いを受けるもの),一定の期間制限はあるものの,放棄は可能です。それであれば,似たようなものである「相続させる」という場合男法規ができないとおかしいという理解も出てきます。実際に,他の理由も含めて述べてそのような理解を示す見解も存在します。

 ただ,改正の立案担当者はは,相続放棄の方法以外に,「相続させる」という遺言の位置部分のみ放棄をすることはできないとする立場をとっているとされます。実際に裁判例がどういう理解に立っているかははっきりはしませんが,見解は統一されていませんので,もしも不要だという可能性がある場合には,「遺贈する」という記載にしておいた方が安全です。たしかに,遺言における記載によって同じような話であっても理解が異なるのはなかなか理解しにくいものがありますが,余計なリスクを抱え込むのは避けたほうがいいようには思われます。

 

 かつては,「相続させる」と記載した遺言の方が登記移転の際の税金が低くなるとか・登記がなくても権利の主張が誰にでもできるとされたなどの面でメリットが大きいとされてきました。今では大半がそうした点はないものと理解されていますので,先ほど述べた余計なリスクも考えて,遺言作成までの各相続人になりそうな方の意向なども踏まえてトラブルの少ない方法を選ぶのも一つの方法です。ちなみに,遺言書の記載があっても,遺言執行者を含めて変更しても構わないというならば,別途遺産分割協議をするという方法もありえます。ただし,税務上の問題が出るケースなども出てくる亜k脳性はあります。

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